川崎重工グループ--ウェブ時代への移行に合わせ国産ERPで次の10年を担うシステムを構築 - (page 3)

宍戸周夫(テラメディア)

2008-07-30 11:00

完全ウェブ対応で負荷を軽減

 GRANDIT導入にあたっては、両社とも業務範囲も見直し、システム化の適用範囲も広げた。それぞれ、人事、経理、販売、在庫、資産などの幅広いモジュールを標準装備している。また、完全ウェブ対応にすることによって、ユーザーサイドでクライアントの設定などが容易になった。

 川崎エンジニアリングの久保氏はこう評価している。

 「当社は電算部門を持っていませんので、コンピュータシステムは管理部門が片手間に見ている状況でした。そのため、従来のMyC/Sだと、人が増えると対応できないということがあったのですが、GRANDITはウェブベースのERPなので、すぐ対応できるというメリットがあります。また、MyC/Sはクライアントが増えるとインストール作業が発生しますが、GRANDITはそれに比べれば簡単ですね」

dream-plus 川崎エンジニアリングが提供する酸素カプセル「Dream-Plus」。バイクレースの鈴鹿8時間耐久などで使用されているという

 「クライアントが増えてもSIerに依頼してインストールする必要がなくなったとか、MyC/Sで多かった個別のアドオン、カスタマイズによるメンテナンスの煩雑さが解消されたということがあります。また、OSのバージョンアップがあると、これまではコスト的にも負荷がありましたが、そうした問題も解消されそうです」(久保氏)

 他社製ERPの経験がある川重原動機工事の山口氏も「GRANDITの導入は比較的スムーズに行ったと思っています。普通に会計を知っていれば普通に使えるというところがいいですね。以前はそうはいかないですから」とGRANDITを評価している。

 「以前使っていた外国製ERPではカスタマイズが難しいし、カスタマイズすると次のバージョンアップでは大変になりますが、しかし、それに比べればGRANDITの方がおそらくカスタマイズしやすいでしょうね」(山口氏)

 今回のGRANDIT導入にあたっては、親会社である川崎重工との連携についても配慮されたようだ。実際、システム化を担当したベニックソリューションも、川崎重工のグループ会社向けの標準的な体系や取引先マスタなどはテンプレートとして用意。また、グループ会社でほぼ同じ原価管理などはグループ会社向け標準機能として作り込んでいる。

 川重原動機工事の山口氏は、これについても評価している。

 「勘定科目や取引先コードを川崎重工と違ったものを使っていると、連結のときに大変です。そこで、ある程度同じものを使っていかないと作業がしにくいという面があります。グループ会社は川崎重工から分離独立した企業が多いため、会計の仕組みはまったく同じというところが大半ですので、こうした共通化は必要ですね」

ユーザー企業とSIerの“Win-Win”

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]