オンライン顧客コミュニティのための12のベストプラクティス - (page 3)

文:Dion Hinchcliffe 翻訳校正:石橋啓一郎

2008-08-08 17:51

2.コミュニティはほとんどの場合は技術的な問題ではない。今では、十分な機能を持つコミュニティプラットフォームが数多く存在する。そのほぼすべてが、ユーザーが互いに議論をしたり、アイデアを共有したり、ブレインストーミングしたり、不満を言ったり、支援し合ったり、議論の交通整理をするのに必要な機能を備えており、人を引きつけるコミュニティを作り出すのに使うことができる。これらについては、今後の記事でまとめる予定だが、Drupalを使おうが、Joomlaを使おうが、DotNetNukeを使おうが(これは、3つの有名な例を挙げただけだ)、一番大きな問題がビジネス上の課題や、顧客コミュニティの社会的な構造になるであろうことはほぼ間違いなく、技術は問題にはならないだろう。ただし、OpenSocialDataPortability.orgなどの現在台頭して来つつあるコミュニティアーキテクチャ標準がその例外となる可能性はある。

3.積極的なコミュニティ管理が必要不可欠である。Josh Catone氏が最近、Deloitteのコミュニティ研究の成果の一部を分析した際、彼はもっとも重要な結論の1つが、ほとんどの顧客コミュニティには適切な管理が欠けているということだと気付いた。コミュニティは確かに自己組織的なものだが、あらゆる種類のコミュニティと同じように、積極的な運営、管理、そして議論の交通整理が必要で、それがなければコミュニティは暴言、スパム、放置、活動の不足、一部のメンバーの不品行などが横行し、生産的な参加者は去っていってしまうという、最小公倍数的な環境に陥ってしまう。

 また、成功しているコミュニティの管理は、非常に前向きで、新しい参加者や貢献を引き込み、コミュニティがメンバーが、アイデンティティと他のメンバーとの間の強い関係のネットワークを構築できるだけの十分な期間引き留められるだけの基盤を持たせている。これは、オンラインコミュニティの世界で常に見られる現象の1つだ。十分な資源を割り当てているコミュニティ管理は、私がこれまでに見た、すべての成功しているオンラインコミュニティに共通している。

4.コミュニティの成功を測るためには、新しい基準が必要となる。私がこれまでに何度も見たことのあるコミュニティの成功を測る指標の1つに、ユニークビジターがある。経験の共有も1つの指標だが、おそらくこちらの方がより適切な指標であり、最近はこちらが使われることが多い。しかし、コミュニティはしばしば単なる訪問者の数やコミュニティの大きさでは測れない恩恵を与えてくれる。企業の顧客ベースの中の、もっとも影響力のあるメンバーは、オンラインコミュニティでも積極的に活動することが多く、他のメンバーを引きつけるとともに、コミュニティを作り、フォーラムでコミュニティとスポンサー企業の両方の意見を取り込んだ共通意見を形成する。

 影響力の大きい人たちの活動拠点となる他にも、コミュニティは顧客との間に質的に新しい種類の関係を形成する。Dellはコミュニティの成功を説明する際、ページビューも引用するが、同時に顧客が提案した膨大な数の新しいアイデアについても引用している。これは従来のウェブの分析手法では測ることのできない価値だ。多くの顧客コミュニティの予算は、今後も非常にWeb 1.0的な指標で測られることが多いだろう。しかし、コミュニティは、遅かれ早かれ、マーケティングやPRだけでなく企業の持つすべての機能に対する重要なインターフェースとなるはずであり、価値を測る新しい手法を採用することは必要不可欠となるだろう。

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