編集部からのお知らせ
特集PDF1「導入期に入るマイクロサービス」
特集PDF2「DXレポート」

物流が変わる 購買が変わる 消費が変わる:Web 2.0 - (page 2)

エリック松永

2008-08-26 08:00

 これは多額なコストをマスメディアの広告媒体に支払っていた企業に大きなショックを与えました。いまでは、ある個人の意見が大きくマイナスに作用するケースもあります。また、リアルな店舗に足を運ぶ必要がないので、近所にお店がある必要がありません。そうなれば少しでも安く手に入れたいのが消費者心理。

 現在のWebでは、購買の前段階の情報収集のためのサイトだけでなく、より安価な価格の商品を提示するサイトまで揃い、全ての購買行動をインターネットで完結させることができるのです。多額な金額を投じて都心の一等地に店舗を置かなくても、TVにバンバン広告を打たなくても、商品が売れる時代になってきたのです。この新しい時代を「Web 2.0」と呼ぶと理解して下さい。

 Web 2.0時代の企業は、リアル店舗を持つ必要がないため、在庫や物流コストがかつての小売に比べると非常に有利になります。今までは店舗のスペースの問題もあり、在庫は一定期間で不良資産化してしまいました。いわゆる「ニッパチの法則」で言えば、上位20%の商品が80%の売上を生み出し、80%の商品は不良資産となるのですが、Web 2.0で成功を修めている企業はその浮いたコストをWeb 2.0の特性を活かすことで、商品として復活させることができるのです。これにより不良資産を減らすだけでなく、かつては不良資産化した売れない商品までもWeb 2.0企業では重要な収入源とすることができるのです。この考え方を「ロングテール」と呼びます。

 しかしここで誤解しないで下さい。Web 2.0で成功した企業は、Web 2.0を実現するITを手にしたから成功したのではありません。よく考えてみて下さい。SNSで書いているのはITのない時代と同じ人間です。良い商品を欲しい、悪い商品は買いたくない、そして良い商品を買ったら皆に勧めたい、悪い商品を買ったら皆に警告してあげたいという気持ちに何か違いはあるのでしょうか? 安い店があったら知らせあう――考えてみれば、これは今までからあった行動であり何も変わってはいません。また、ロングテールにしても、古臭い商品をただサイトに乗っけておくだけでは売れるわけがありません。Amazon.comでは、消費者の購買履歴からその人の購買意欲がありそうなものを推測し、サイトで推薦する事によって、過去の商品を掘り出しています。もちろん、どんな商品を推薦すべきかを選ぶロジックは企業努力から生まれているものです。

 経営者にとって、Web 2.0は理解すべき購買行動の変化です。しかし、全ての商品がWeb 2.0の考え方に乗せる商材に適しているわけではありません。リアル店舗でのリアルなもてなしも我々消費者を満足させてくれているのは事実です。経営者として大事なのは、良い商品を良いサービスを開発し提供することであり、その為にどんな手段をとるべきなのかを考えるというプロセスを取ることでしょう。良い商品は情報を大量に集めて分析すればいいような単純なものではありません。北京オリンピックの水泳競技ではSpeed社の水着が注目されましたが、あの水着は固いスパゲティーが水のなかにストンと落ちるのがヒントだったそうです。着心地もかなり悪いらしく100人のTOPスイマーにヒアリングして開発されるような商品ではなかったと聞きます。

 経営者はバズワードとしてのWeb 2.0に縛られ振り回されるのではなく、自社の素晴らしい商品を市場に送り出すためにWeb 2.0を活用できないかと、少し引いた感じで接するべきです。

 その為には、バスワードの正しい理解をする必要があります。バズワードを正しく理解する方法ですか?もちろん、このコラムを読むことです(笑)。

Peace out,
Eric

Eric
筆者紹介

エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]