SIベンダーが教えるNotesマイグレーション成功の法則--企業のコラボレーション基盤を考える(4) - (page 4)

富永康信(ロビンソン)

2008-08-29 21:41

コラボレーション基盤を変えることで何が「嬉しい」か

 Notesマイグレーションを成功させるためのユーザーの心構えとして、西田氏は逆説的に「今あるものをとにかく全部移行したいといったあいまいな動機なら、マイグレーションは考えない方がよい」と断言する。

 Notesマイグレーションを行うにあたっては、現在Notes/Dominoで行っている業務内容を詳細に分析することが大前提である。分析の結果、それらの中から、何を切り捨て、何を残して、何を作り替えていくのかといった見極めは、当然のことながら、ユーザー自身が行わなければならない。これは、企業のコラボレーションスタイルの変革や、業務プロセスの刷新と切り離して考えることは不可能だ。

 このような大規模な「働き方の変化」を実現するにあたっては、社長直属のプロジェクトによる推進や幹部の協力体制など、トップダウンによる意思の伝達やガバナンスの徹底ができるかどうかが、最終的な成否を分ける。さらには、コラボレーション基盤を変えることによって、何が嬉しいのか、何が便利になるのかを分かりやすく示すとともに、新しい技術を積極的に使おうとするユーザーを巻き込んで、その声を反映させることが現場の理解を進める。こうしたプロジェクトにおいて最悪である「現場対IT部門」の対立構図を避ける意味でも有効だという。

 「大切なのは、自社にあるべきコラボレーション基盤の理想像を描くことであり、ベンダーの理想に乗ることではない。自社にとって何が必要かというぶれない軸を持った上で、価値があるならば、Notes/Dominoを残したまま、MOSSを導入するという判断も当然あるだろう」(西田氏)

080829-unisys02 日本ユニシスが考える情報活用促進のプランニングプロセス

 今後10年を見据えたコラボレーション基盤のあり方について、西田氏は、「ガバナンスが効いている前提で、必要なユーザーに対しては、彼らがルールに従って、比較的自由に自分たちが欲しい環境を作ったり、共有したりできる環境がベスト」と述べる。つまり、しっかりとコントロールが効いていながら、ユーザーはそのシステムを使うことに「自由」を感じられる環境。大切なのは、そのバランスである。日本ユニシスでは、.NET Migration Suiteによってそのようなプラットフォームを作ることが可能であると自信を覗かせる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]