持続可能なITを語る時代がやってきた--その第一歩は「企業DNAの形成」 - (page 2)

文:Martin Atherton 翻訳校正:川村インターナショナル

2008-09-08 08:00

  1. テクノロジ:従業員、プロセス、そしてテクノロジは相互に絡みあった関係にある。環境に対する取り組みで成果を得るには、連携しなければならないからだ。たとえば、出張の代わりに電話会議や在宅勤務を行おうと思っても、テクノロジが伴わない場合は実現できない。そして重要となるのはその状況である。たとえば、高画質のテレビ会議システムに投資して、出張に伴う二酸化炭素排出量と費用の両方を削減する場合、実環境に対する負荷は減らせるが、データセンターの機器と帯域を増強しなければならない。もし、その企業がデータセンターの消費電力の最適化を探っている場合、機器の増強は、適切なビジネス主導型の状況において実行されるのだということを理解しなければならない。活動が最終的にもたらす効果は、ビジネスを支え、かつ、環境への負荷を軽減するものでなければならないということだ。
  2. 機器:PC、サーバ、プリンタ、冷却システムなど、すべての機器は二酸化炭素を排出する。製造段階と使用段階の両方で環境に影響を与えるとともに、適切な廃棄処分が行われない限り、製品寿命を迎えたときに問題が発生する。機器をリプレースする代わりに、再利用を図ったり、違う目的の機器を別の目的で使用するといったことを検討すべきだ。このようなアプローチは別のイニシアチブを促す可能性もある。たとえば、データストレージの制御方法を確立したりサーバの利用効率の向上を図ったりすることで、機器の持つ性能や機能を十分に引き出すことができる。
  3. 資源:電力、紙、インク、トナーカートリッジなども、供給され、利用され、消費される。前項と同じような課題がある。

 結局のところ、企業は持続可能性を長期的な視野でとらえなければならない。短期的な施策はPR効果こそあるかもしれないが、本質的ではないし永続的でもない。ならば、短期的な施策ではなく、しっかりとした基礎を固めてから開始するためにも、どのような領域が全体像に貢献するかを把握しておく必要がある。

 Freeform Dynamicsが証明したように、持続可能かつ有意義な戦略は従業員からも歓迎されるはずだ。上記で説明した各領域を基盤として対応することで、ビジネスと地球環境の両方にとって長期的なメリットがもたらされるだろう。

 また、ITを、打ち負かすべきモンスターとみなすのではなく、均衡を保つための重要な一部分として扱うべきだ。環境重視戦略を持続するだけでなく、企業活動とITとを整合させて落とし所をみつけていく必要があるだろう。

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