グリーン化、高速化、柔軟性--20年後のデータセンターを予測する(前編) - (page 3)

文:David Braue(ZDNet Australia) 川村インターナショナル

2008-09-17 10:00

コアコンピテンシー

 使用しているサーバの物理的な台数を減らそうと、多くの企業が仮想ソフトウェアの導入を進めているが、長期的には、より電力効率の高い機器の開発が、消費電力の削減という課題においては主導権を握るだろう。このようなトレンドは、これまで1台のサーバ(1台の電源)で1個のアプリケーションを実行するというデータセンターの設計では主流であった考えから解放されなければならないことを意味する。

 複数の物理サーバを単一の筐体に収容したブレードサーバは、この分野の破壊的な力の1つといえる。Perkinson氏は、長期的な設計戦略としてブレードサーバはきわめて優れているとし、また、ネットワークスイッチやその他のデータセンター機器を収容するにはブレード筐体はうってつけであると考えている。

 Perkinson氏の主張では、ブレードサーバは1つの共有電源から複数のサーバに電力を供給しているため、サーバが個別に電源を持つ場合に比べてサーバあたりの消費エネルギーが少なく、管理もしやすいという性質をもともと持っている。「いわば電源の集約化だ」と同氏。「あらゆる機能をブレード化しようというのが、当社の方針の1つなのだ」(Perkinson氏)

 ただし、既存のサーバやCPUを単純にブレードに作り直しただけでは、拡張性は向上するものの、構成される部品をブレード向けに基本から再設計しない限り効果は限定的なものになってしまい、環境上のメリットを長期的に維持することはできない。

 マルチコアコンピューティングはこの方向性の大きな1つのステップであり、シリコンベースの現在のプロセスを今後数十年にもわたって延命してくれるものと考えられている。「(コンピュータの)性能は向上し続けていくものだ、と一般には考えられているが、集積されるコア数が増えるにつれて、その事実が示されていくことになる」と、Intelの技術マネジメントとテラフロップス研究の責任者で、米国を拠点に活動するJerry Bautista氏は言う。

 Intelが進めている80コア研究プロジェクトのリーダーであるBautista氏は、将来のプロセッサ設計について誰よりも遠くを視野に入れているに違いない人物だ。同氏は、マルチコアコンピューティングは大きな「破壊的テクノロジ」の1つであり、その方向に進むことは将来のサーバ設計できわめて重大な意味を持っていると考えている。

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