Oracleの粘り強さは評価すべきだろう。同社は、グループウェア事業の構築におよそ10年の歳月を費やしてきた。
しかし、コラボレーションスイートの次世代版「Oracle Beehive」を発表したOracleは、企業向けメッセージングの分野に、斬新さや重要性を感じているのかもしれない。
Oracleは今週、サンフランシスコで開催されている大規模なOracle OpenWorldカンファレンスでBeehiveを発表した。OracleがBeehiveに投資しているということは、同社の開発者らによる性能面の新たな画期的成果からよりも、Microsoft ExchangeやOutlookをめぐる流動的状況からより多くのビジネスチャンスが生まれることを示している。
理由は以下の通りだ。特に仮想化分野で経済性や技術が向上すると、一般にサーバのIT機能性は高まる反面、クライアントPCの機能性は低下する。その結果、Microsoft Exchange ServerとOutlook(および各PC上に保存される(危険だが)コストのかかる膨大な量の.pstファイル)の間の「サーバとクライアント」の関係は崩れつつある。
新たな関係は、サーバとブラウザ、あるいはサーバとシンクライアントICAレシーバだ。以下はBechtelの最高情報責任者(CIO)が、最近アナリストらに語った言葉だ。「IT資金はフロントエンドではなく、バックエンドに使え」
Exchange内部やエンドデバイスのハードドライブ上のデータのコストやセキュリティリスク、データ拡張性の欠如は、持続性のないITマイルストーンだ。無論、一部の企業などは、Exchangeを保持し、Outlook Web Accessとしてあるいはターミナルサービスを介してクライアントを提供するだろう。
しかし、現在仮想化を利用し、VDIを評価しているCIOたちから聞いた話では、MicrosoftのExchange、Outlook、SharePointの組み合わせは、さまざまなコストを削減し、SOAで徹底的に取り組み再設計するサーバのリソースプールにこれを導入することが最初にすべきことのリストの上位に位置しているという。
無論、Exchangeなどは、敏捷性に欠け、高額なTCO(総所有コスト)がかかるが、さまざまな特徴や機能が安価で利用できることは広く認識されている。あらゆる意図および目的に応じて、メール、カレンダー、ファイルフォルダリング、さらに統合メッセージング機能までもが無料で利用できるか、あるいは少なくとも、より大規模なアプリケーションセット、スイートの低価格機能として利用可能だ。
メッセージングとグループウェアに関して言えば、企業は銅を買うために金を支払っているようなものだ。おまけに、企業はそれらを統合する必要がある。
多くの企業が、高価な割に柔軟性に欠けるクライアントサーバのExchangeから、サービスベースでサーバベースのメッセージングに移行していることから(OracleはSOAに即したメッセージサービス、CiscoのSONAに似たネットワークサービス、Webサービス、クラウドサービスの拡大を図っている)、企業はいずれExchangeの先を見るようになるとOracleは考えている。
企業各社は、向こう数年以内にパラダイム、コスト、機能の点からメッセージングの再考を始める。巨大で高価なクライアントサーバを使ったアプローチはいずれ、より安価で、柔軟性があり、統合性にも優れ、データファイルがメッセージングシステム専用とならないオンプレミス(自社運用型)のクラウドでも正常に機能する可能性が高いアプローチに取って代わるだろう。
Oracle、IBM、Google、Yahooの4社は、(かつてMicrosoftがLotusやGroupWareに対して行ったように)大規模だが脆弱なExchangeの世界フランチャイズに侵入し、徐々に切り崩そうと狙っている。そうなれば、企業向け市場におけるMicrosoftの独占的地位がさらに揺らぐことになる。
これは一夜にして起きるわけではないが、いずれ必ず起こる。Oracleはその可能性に賭けている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ