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Notesマイグレーションの本質は経営改革にあり--企業のコラボレーション基盤を考える(7) - (page 2)

富永康信(ロビンソン)

2008-09-26 21:50

情報流通の「エコ化」で質を高めようとする試み

 「ITはコラボレーション全体の一部に過ぎない」と語る吉田氏は、情報の質的向上のためには、意識改革を推進するための体制整備、情報・ナレッジ発信のルール作りと徹底、受け手が必要とする情報の作成といった、「人」による取り組みが重要だと訴える。人によって作られる「体制」「ルール」「情報」が「IT」の支援によって回っていく、いわば「4身1体」のコラボレーションが理想であるという考え方だ。

 吉田氏は、「実は、現時点では“ITによる解決策”について明確な回答はない状態」だとする。この枠組みの中で、いかに情報の量を減らし、質を高めていくかについて、現在多くの試みが行われている段階だという。

 例えば、ある企業では、社内に存在する情報の質的向上をミッションとした「情報管理室」を設置する試みを行っているそうだ。情報発信や保存のルールを各部の業務内容と照らしながら決めていくことで情報の質を上げつつ、たとえば「サーバ上に保存されている文書は1年を限度に自動的に消去する」であるとか「一定期間内に閲覧率が1%未満の文書は削除する」といった形での情報の整理を、ITの支援で効率的に実施することを目指しているという。

 また、ある銀行では、メールを使って1通の通達を出す際に、受け手である複数のスタッフが「情報の受信にかけるコスト」を「合計何時間」という具体的な数値で明示することにより、情報の発信に対するコスト意識を喚起するといった実験も行われている。

 質を高めるという目的に向けて、情報発信と蓄積に対するコスト意識を高めようという考え方は、廃棄物や二酸化炭素排出量の削減について企業が目標数値を設定する「エコ化」の流れとも似ている。企業活動の高度なIT化を経て、人々は「ムダな情報」がもたらす害に気づきはじめている。質の低い情報の垂れ流しやため込みは、業務への負荷を増し、生産性を下げ、貴重な経営資源を浪費させるという認識が必要になってきている。

 では、環境マナーに相当する、情報発信や蓄積の「作法」とはどのようなものなのだろうか。もちろん、これまでに何度も言及してきたように「人的な取り組み」と「ITによる支援」が両輪となって作り上げられていくことが重要だ。

 基本的な「ファイルやタイトルの命名ルールを統一する」「業務別DBのカテゴライズを明確にする」「最終版以外の文書は保存しない」といった、情報の作成・蓄積・修正・廃棄の各フェーズにおける「作法」を人的な取り組みによって定めていく一方で、情報にメタデータを付与して検索性を高めたり、情報の生成や変更に関するログを活用するなどの方法で、ITによるサポートを得ることができる。情報の賞味期限、情報の原産地・作り手、管理の所在といったメタデータを活用することが、ITによって情報のライフサイクルを管理し、情報の質を高めていく上で不可欠となる。

 また、作法が定着することで、社員の情報整理に対するリテラシーが向上することも期待できる。リテラシーが高まった環境の中であれば、情報の閲覧数やブックマーク、評価ランキングといったソーシャルなアプローチを導入して情報の重要度を導き、プッシュ型配信や廃棄タイミングを自動化するといった形で、ITの支援による情報の質的向上のフェーズをさらに高めて行くことも可能になるだろう。

Notesマイグレーションを経営改革の手段に

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