「自社のデータセンターの電気代、知ってますか?」--環境対策に取り組むマイクロソフト

藤本京子(編集部)

2008-10-07 19:20

 マイクロソフトは10月7日、同社の環境に対する取り組みについて説明会を開催した。同社では、グローバルな組織として環境対策に取り組む部署を1年前に立ち上げ、今回初来日したRob Bernard氏がチーフエンバイロメンタルストラテジスト(最高環境責任者)に就任した。日本でも7月の経営方針説明会にて、日本法人の代表執行役社長を務める樋口泰行氏が、中期経営方針のひとつとして環境への配慮を挙げている。

Microsoft Microsoft 最高環境責任者のRob Bernard氏

 Bernard氏は、地球全体でエネルギー需要が増え、二酸化炭素(CO2)の排出が増え続ける中、「今後5年から7年の間に方向転換しない限り、地球は人間が住めないほど暑くなる」と警告する。そこでBernard氏は、半導体の技術進化を示す「ムーアの法則」を、「ITによるエネルギーの効率的な利用方法にも当てはめるべきだ」と主張した。

 そのためMicrosoftでは、ソフトウェアにエネルギー効率を高める機能を内蔵しているほか、同社のデータセンターでいかにしてエネルギー削減を実現したかを公開し、教育にも力を入れている。例えばWindows Vistaでは、節電機能として60分間操作がされないと自動的にスリープモードに入るという「ハイブリッドスリープ」機能がオンの状態で出荷されているが、この機能により、1日10時間、週に5日稼働する10台のPCを1年間利用した場合、自動車1台分の年間CO2排出量に相当する節電が実現するという。

 また、2009年夏にアイルランドのダブリンに開設される同社のデータセンターでは、外気を利用した冷却装置を導入するなどして、同規模のデータセンターより50%のエネルギー削減を実現する。さらにBernard氏は、「ユニファイドコミュニケーションを活用すれば遠隔会議が可能となり、出張を減らすこともでき、自宅での作業もできる。British Telecomでは40%のエネルギーを削減した」と話す。

 Bernard氏は、意識改革の重要性も強調している。というのは、同氏がITの専門家を前にした講演で「自社のデータセンターの電気代を知っているか」と聞くと、ほんの15%程度しか手があがらず、「データセンターのサーマルスキャンをしているか」と聞くと、わずか5%程度の人しか手をあげなかったからだ。

 Microsoftでは、次期Windows製品にてさらに節電機能を強化する予定で、同社のCRMおよびERP製品「Microsoft Dynamics」シリーズでも、2009年1月には節電機能が搭載されたものを発表する予定だという。

 こうした技術的な取り組みももちろんだが、Microsoftでは企業全体の取り組みとして、Microsoft本社近くのシアトルにて、車で通勤する社員がバス通勤できるよう同社のプライベートバスを走らせている。また、ソフトウェアの配布形態として「Digital by Choice」というプログラムを取り入れ、「企業にソフトウェアをダウンロードで販売し、数多くのCDやDVDを削減した」としている。

 日本での取り組みについて、マイクロソフト 業務執行役員 社長室 室長の冨沢高明氏は、「米国本社と共に環境に配慮したソフトウェアを開発し、それを日本国内のパートナーと幅広く展開しつつ、環境対策に取り組んでいきたい」とした。

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