分散した情報、分散したIT、それをつつみこむInfor Open SOA - (page 3)

大野晋一(編集部)

2008-10-20 12:00

Open SOAの技術的特徴

 Open SOAとは、Inforの言葉を借りれば、「標準規格に則り、サードパーティとの接続性も確保しながら、企業のITをビジネスネットワーク世代に対応させたアーキテクチャー」となる。

 Open SOAはすでに書いたとおり、Inforが独自に開発したSOAの実装だ。当然、ほかのSOAとの接続性も担保されている。では、なにが特別なのか?――Bruce Gordon CTOは、「従来のESBはハブ&スポークモデル。しかし、これはネットワーク型のビジネスにはあわない。Open SOAは情報のルーティングやビジネスプロセスの呼び出しためのルールブックをセンターに起き、実行はローカルで実行することでこれを解決する」と説明する。

 これはまさに、P2Pネットワークのアーキテクチャだ。一般的なSOAが階層モデルだとすれば、Open SOAはP2Pモデルということになる。

 そして、これを実現するのが「On Ramp」、アプリケーションにプラグインするソケットだ。このソケットが中央に置かれたルールブックを理解し、適切なOn Rampに情報を渡したり、ほかのOn Rampからの情報を受け取ったりする。アプリケーション側はこのOn Rampと「まるで電子メールをやりとりするようなシンプルな方法で」(Bruce Gordon CTO)情報をやりとりすればよい。このやりとりにはOAGiSと呼ばれる標準規格を採用することで採用コストを下げている。

 つまり、これまでルールの管理と実行をともに持っていたESBから実行機能を取ることでP2Pモデルへの移行を果たしているわけだ。実行についてはOn Rampが担当する。そして、どこで実行するかはかわるものの、やりとりする内容は変わらないため、従来のSOAとの互換性も保たれる。

 実際のところ、データの同期を確実なものにするイベント駆動型やバージョンコントロールなど、技術的にユニークな点は多々あるが、ビジネスネットワークとの関連では以上を理解しておけばおおむね問題ないだろう。

 さて、次は、こうした技術がユーザーに与えるメリット、そしてなぜビジネスネットワークに適合するのかについて考えてみたい。

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