VMWareとの協業で仮想化環境のバックアップの課題を解消
同社はこの領域で、仮想化技術との連携に特に重点を置いている。「VMWareとは過去2年間、緊密に共同開発作業をしている」とキックスモラー氏は明かしている。
ただし、仮想IT環境を構築するには、さまざまな設定やカスタマイズ、運用や管理の作業に手間がかかるとともに、これらがバックアップにとってのマイナス要因にもなりうる。
そのためシマンテックは「VMWareの管理ツールであるVMware Virtual Centerとの統合を実行した」(同)。
VMware Virtual Centerは、物理サーバと仮想マシンのパフォーマンスを監視し、一元的に集中管理することができる。「これにより、ハードウェア上で動く仮想マシンを自動検出することが可能になる」ため、仮想マシンの動向を把握でき、確実なバックアップができることになる。
また、「バックアップのプロセスを自動化させるため、VMware Cosolidated Backupも統合した。このため、ソリューションは全体的に高度に自動化される」(同)という。
「VMware Cosolidated Backup」は、仮想マシンの内容をファイルレベルでバックアップできるという。「VMware ESX上には複数の仮想マシンが乗っているわけだが、ハードそれぞれのCPUだけでバックアップをするのは困難だ。そのような伝統的な手法に比べ、VMware Cosolidated Backupでは、仮想マシンがNetBackupの専用サーバーのプロセッシングにつながる。VMware Virtual Centerも統合されているので、どのハードが動いても把握することができる」。
キックスモラー氏は「我々のソリューションは、VMWareとNetBackup、双方の先進性を統合しているところに優位性があるといえる」と強い自信を示す。
拡大するバックアップ市場
今後のデータ保護関連市場について、キックスモラー氏は以下のように述べる。
「世界的にコンプライアンスの徹底化が叫ばれ、日本でもJSOXが施行されている。日本、米国、欧州いずれも、さまざま規制はいっそいう厳しさを増しており、データが厳格に保全されているということがさらに重要になる。つまり、バックアップがうまくいっていることが証明されていなければならない」
「アナリストによれば、バックアップ関連の市場は拡大傾向にあり、成長率は年々高くなっているのだが、当社の成長率はそれを上回っている。また、世界市場のなかでもアジアや日本は非常に大きく伸びている。次世代の技術の導入により、さらに拡大すると考えている」
このように、バックアップシステムの高信頼性が特に重要になってきている状況は、シマンテックにとって好機となるわけで、「当社は世界市場の中でもリーダーとして先行していると考えている。エンジニアリングへの投資も積極的であり、今後も優位性を保っていけるだろう」とみている。