もし米Yahooが、再びMicrosoftを交渉のテーブルに着かせたいならば、Jerry Yang氏が最高経営責任者(CEO)であるかどうかに関わりなく、とにかく検索分野のみでの提携を持ち出してみるとよいだろう。
これは、ある影響力のあるMicrosoftの情報筋が口にした意見である。
この情報筋は「もしまだYang氏がCEOの座にあり、明日にでもMicrosoft最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏を呼んで、検索分野のみでの提携について協議しようと持ちかけるとしても、おそらくBallmer氏は聞き入れるのではないかと感じている。Microsoftは、双方に利益をもたらす検索分野での交渉には、いつでも応じる用意がある。ただ、世の多くの人々は、いまだにYahooの全社買収案に期待をかけているようである。Microsoftの本社があるレドモンドで、そんなふうに今でも考えている人など、1人もいないのだが。Yahooの全社買収を検討する向きなど、もうここ数カ月間は、まったくなかった」と述べている。
とはいえ、この「期待感」は、明らかに今でも健在のようである。米国時間11月18日午前中には、Jerry Yang氏がCEOの座を退くとのニュースが流れてから、市場での取り引きがスタートし、Yahooの株価は、前日終値より約12%高値の、1株当たり11.90ドルにまで急上昇した。一方、複数のアナリストが、再びMicrosoftは、Yahooの全社買収案を持ち出して、交渉の席に戻ってくるかもしれないと推測する調査ノートを、次々と発表した。
UBSのアナリストであるBenjamin Schachter氏は、次のようなリポートを出した。
われわれは依然として、最終的にはMicrosoftが、Yahooの全社買収を成し遂げると確信している。CEOのYang氏の退任は、これを加速させる可能性さえある。Yahooは、オンラインスペースにおいて、現在でも重要な戦略的資産であることに変わりはなく、これほどの規模で重大な影響力を行使するプレーヤーが不足していることを考えるならば、現在の株価には反映されていない、大きな価値が、Yahooにはあると考えている。
UBSは、現在のYahooの目標株価を、1株当たり18ドルに設定している。
Sanford C. BernsteinのアナリストであるJeffrey Lindsay氏は、Yang氏の辞任が、Yahooの取締役会は、現在のYahooの業績や経営に満足していないことを示すものとなり、これは良い兆候であるとする調査ノートを発表した。Lindsay氏は、さらに次のような報告も出している。
今回のYang氏の辞任は、Yahooの経営陣が、とりわけMicrosoftを視野に入れた、幅広い提携の可能性を探る体制を整えていることを示すものである。
Microsoftは5月に、一方的に持ちかけた買収提示額を、当初の1株当たり31ドルから、1株当たり33ドルにまで引き上げた後、交渉の席を立った。Yahooが、1株当たり37ドルの提示額を出してきた時には、ついにMicrosoftは、Yahooの全社買収を目指す交渉を、完全に打ち切った。
Yahooの株価は、Microsoftが31ドルの買収案を提示する前日終値で、1株当たり19.18ドルを付けていた。
Microsoftの情報筋は、Yahooや投資家に対して、今でもMicrosoftが、Yahooの全社買収に興味を抱いているのではないかとの概念を、完全に捨て去るようにと忠告している。しかしながら、もしYahooが、検索事業のみの買収案や、検索分野のみでの提携案を持ちかけて、Microsoftのもとへとやって来るならば、たとえそれが、Yang氏による提案であろうとなかろうと、大いにMicrosoftの注意を引くものとなるだろう。
さらに、この情報筋は、5月後半にMicrosoftが持ちかけていた、検索事業のみの買収額として、およそ80億〜100億ドルという提示額が再提示されるのではないかとの期待は、まったく現実離れした見方でしかないとも付け加えた。
Microsoftが、検索事業のみの買収案を提示した当時、Yahooの株価は、1株当たり27ドルのレンジを推移していた。しかしながら、11月17日終値のYahooの株価は、1株当たり10.63ドルであった。
「Microsoftは、5月に提示した額では、Yahooの検索事業を買収したいとは思わないだろう」と、この情報筋は語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ