日本の公立学校でのLAN普及率、「2011年に100%達成は難しい」--ITが教育現場に行き届かない理由 - (page 2)

藤本京子(編集部)

2008-12-04 10:36

 ただし、授業でITを活用するためには教員の指導力を高めることも必要だ。そのため文部科学省では指導力を計るための基準を設定したほか、ビデオ学習を中心とした研修システムも用意した。また、日本のマイクロソフトが中心となって進めているICT教育推進プログラム協議会でも、ITを活用した指導力を向上するための「スキルアップオンライン」というプロジェクトにて研修が受けられるようになっている。

寺下氏 和歌山市教育委員会 和歌山市立教育研究所 専門教育監補 寺下清氏

 マイクロソフトではさらに、NIMEと共同で「NEXTプロジェクト」を推進しており、未来の学校教育がITによって変わることを証明すべく、実証実験を続けている。

 NEXTプロジェクトのひとつとして画期的な取り組みを実施しているのが和歌山市だ。和歌山市では2007年より、「和歌山市Wプロジェクト」と称して市内の公立小学校52校全校にタブレットPCを導入した。同市が用意したのは、タブレットPC 1300台とシャープの携帯端末「W-ZERO3」324台。「財政状況は厳しかったが、学力向上に特化したシステムを導入することで実現した」と、和歌山市教育委員会 和歌山市立教育研究所 専門教育監補 寺下清氏は説明する。

 授業では、「小学館の手書きデジタル学習システムや、共同作業が可能な『Microsoft Office OneNote』などを利用した」と寺下氏。その効果について同氏は「発表力の弱い生徒でもタブレットPCには自由に意見を書き込むことができ、授業参加が積極的になった。意見の共有や共同作業もできるため、生徒はみなタブレットPCの利用を楽しんでいる」と語る。

 このように、日本の教育現場でのIT活用は徐々に浸透しつつあるが、清水氏は6月に成立した青少年のインターネット利用におけるフィルタリングの義務化について警鐘を鳴らしている。こうした法律によって、インターネットを悪と決めつける保護者が増える可能性もあるためだ。「単にフィルタリングを義務化するだけではインターネット関連のトラブルは減らない。まずは生徒と保護者のリテラシーを高める必要がある」と清水氏。同氏は、「技術の発展に伴って見え隠れする光と陰の両方を理解してこそITの活用がより意味のあるものになる」と強調し、講演を締めくくった。

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