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欧米より遅れる日本企業--盲目的なITコスト削減は、ケイパビリティギャップを招く - (page 2)

田中好伸(編集部)

2008-12-19 17:25

 それでは、日本企業において何がSOA導入の障害となっているのか。アクセンチュアの調査では、障害要因のトップ3として1位「ビジネスメリットの定義」、2位「経営層への説明・説得」、3位「ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)の準備不足」が挙げている。IT投資で事業部長が責任を負う傾向が強い日本企業では、やはりSOAを適用するビジネスメリットがまだまだ理解されていないことを反映していると見ることができる。

 そうした状況でも、グローバル全体としてSOA導入は進んでいる。調査ではSOA化する理由を聞いており、その結果について沼畑氏は、こう分析する。

 「欧米企業は、SOAを用いて“レガシー”統合による現行システムのテコ入れを図ろうとしている。それに対して、日本の場合、新規アプリケーションを構築する際にSOAを導入する傾向にある」(日本で“レガシー”といえば一般的にはメインフレームを指しているが、欧米で言う“レガシー”とはUNIXを基盤とするシステム、あるいはクライアント/サーバ(C/S)型のシステムを指している)

 メインフレームを中心とした「“レガシー”なシステムはSOA化できないのではないか」という考えが日本企業に存在するために、新規アプリケーションの構築にSOAを導入するという傾向になっていると沼畑氏は分析している。

米国・欧州よりも劣る日本

 現行のシステムをSOA化できるかどうかはともかく、現行のシステムがユーザー部門に実際にメリットを提供できるているかどうか。本来的には、ユーザー部門にとってはこれが最も重要な論点の一つであることは間違いない。アクセンチュアの調査では「アプリケーションはビジネス・技術ニーズに適合しているか」を聞いている。ここで言う“ビジネスニーズ”とは、たとえばシステムから提供される情報がエンドユーザーが求めるニーズに応えられているかどうか、といったことを指す。一方の“技術ニーズ”は、システムが技術的に老朽化していないかどうかを指している。

 結果として、日本企業の場合、企業として稼働させているアプリケーション構成(アプリケーションポートフォリオ)は、技術的にも、そしてビジネス的にもニーズに応えきれていない、という事態になっている。「全般的に、日本企業におけるアプリケーションポートフォリオは、技術上、ビジネス上の適合性観点からパフォーマンスが最も低い。特に、欧州と同様顧客関連のシステムが低いパフォーマンスとなっている」(沼畑氏)。

図2 ニーズへの適合性(画像をクリックすると拡大表示します、提供:アクセンチュア)

日本企業は内製のSOA化に向かう傾向が強い

 それでは、今後のアプリケーションポートフォリオはどういった方向に進むのだろうか。調査では、業種・業態を問わずに企業として重要な財務・経営管理アプリケーションとそれ以外のアプリと分けた上で、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)、SaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)を含んだオンデマンドサービス、外部から提供されるSOAアプリケーションへの置き換え、内製によるSOAアプリケーションへの置き換え、パッケージ中心のエンタープライズアプリケーションのアップグレードのどれを選択するか、という答え方になっている。

 財務・経営管理アプリケーションの場合は、エンタープライズアプリケーションのアップグレードを選択する企業が最も多く、地域ごとでも日本で50%、米国61%、欧州56%という結果だ。これは「財務・経営管理領域では、(現行の)基幹システムの維持・更改を基調としている」(沼畑氏)と分析できる。

 一方の財務・経営管理以外の分野でのアプリケーションでは、「SOA化の意識が高い。日本企業は特に内製のSOA化に向かう傾向が強い」(沼畑氏)。それとは立場を異にするのが欧州であり、同地域では財務・経営管理以外のアプリケーションではオンデマンドサービスを有力な選択肢としている(日本で内製によるSOAアプリケーションに置き換えるとするのが32%であるのに対して、欧州ではオンデマンドサービスとするのが28%となっている)。

図3 財務・経営管理分野はエンタープライズアプリケーションのアップグレードが大勢だ(画像をクリックすると拡大表示します、提供:アクセンチュア)

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