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欧米より遅れる日本企業--盲目的なITコスト削減は、ケイパビリティギャップを招く - (page 4)

田中好伸(編集部)

2008-12-19 17:25

 アクセンチュアは、現在の景気後退が鮮明になる前の6月に「CIOワークショップ」を開催している。そこで明らかになっているのが、経営層の14%が「コストを削減してほしい」、12%が「迅速なサービス提供をしてほしい」を望んでいることが明らかになっている。

 情報システムに対するコスト削減圧力は、現在の景気後退局面に陥る以前から、つまりこの夏頃までの、景気後退が体感できない状況にあっても、常にIT部門に対してかけられていた。しかし、「100年に一度の金融危機」によって加速されている現状の景気後退局面が“V字回復”する兆しは全く見られないことから、情報システムに対するコスト削減圧力は、これまで以上に強まることが容易に予想できる。

“作る”から“使う”へ

 こうした状況と今回の調査結果を受けてアクセンチュアでは、(1)「“作る”ITから“使う”ITの思考でコスト効率の最大化を実現する」、(2)「IT支出の諸要素ごとの特性に応じた、最適化されたIT投資を検討する」――という2つの提言を打ち出している。

 これまでの企業内でのITシステムは、“単機能のシステム構築”から“統合化・パッケージ化”へと進化してきた。在庫管理や販売管理、購買管理といった単機能に注目してきたシステム構築から、顧客関係管理システム(CRM)やサプライチェーン管理システム(SCM)、統合基幹業務システム(ERP)などの統合的システム、パッケージを活用したシステム導入へと進化してきている。

 この進化は「単機能のIT化からパッケージ導入の時代を経て、現代の企業ITはいかに既存資産と外部資源を連携・活用するかというテーマに挑んでいる」(沼畑氏)状況にあると表現できる。たとえば、配送という業務プロセスでは企業外の物流会社との連携が必要であり、調達という業務プロセスでは企業外のサプライヤーとの連携が必要だ。つまり、配送なら配送、調達なら調達という各業務プロセスに注目した“プロセスセントリック”なビジネス連携を考慮したシステム活用が効果をもたらすと、アクセンチュアは提言している。

図5 企業ITの進化の過程(画像をクリックすると拡大表示します、提供:アクセンチュア)

SaaSは投資の最適化とスピードをもたらす

 外部資源の活用という点で現在注目されるのがSaaSだ。アクセンチュアの沼畑氏は、使うITという視点からSaaSの活用は「導入が容易で企業特有の要件に影響されない領域から始めることで、投資リスクを回避しつつSaaSの利用を促進していくことが可能」と提言している。

 たとえばオフィスツールやコラボレーションツール、コミュニケーションツールなどの“ワークプレイス”サービスは、企業の規模にかかわらず導入がしやすい。その次に導入しやすいのが、業種・業務要件に依存しない共有サービスだ。具体的には、経費精算や勤怠管理、旅行手配などのサービスが当たるだろう。そして最も導入しにくいのが、業種・業務要件に依存するものだ。CRMやSCM、ERPなどのサービスである。

 SaaSは、規模の小さい企業よりも大企業の方がコストメリットを発揮しやすい。従業員を多数抱える大企業でワークプレイスのサービスを活用すれば、コストメリットを活かしやすいのは明らかだ。

 コストという点でSaaSと自社での導入・運用(つまりオンプレミス)を比較すると、SaaSは「ユーザー企業にIT投資の最適化とスピードをもたらす」(沼畑氏)。オンプレミスだと、初期投資(イニシャルコスト)がかかるのはもちろん、エンドユーザー数増加でインフラ強化のためのコスト、さらには老朽化、機能拡張に向けたシステム更改というコストもかかることになる。またインフラを増強する際には、サーバなどのハードウェア、必要なソフト、アプリケーションなどの購入で固定資産が増えることになる。SaaSであれば、ITに関連した固定資産を削減できるということは言うまでもないだろう。

盲目的にカットするとケイパビリティギャップを生む

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