経営者はITやそれにまつわるバズワードに振り回されてはいけないと連載を通していってきました。重要なのは経営者が求めるKPIがあり、今までなら何カ月もかかって得られたKPIがITによって早く一覧できるなら、そして早く獲得することによって次へのアクションが有利にとれるのであれば、経営ダッシュボードを採用するか検討するという順番で考えることです。ITは魔法の箱ではありません。経営者がきちんとしたKPIをもっていなければ、ITベンダーが推奨するKPIの羅列を見たところで何の意味もありません。
そうは言っても、ITを使うべきかの判断として経営者はなかなかITの中身までカバーすることが出来ません。そんな時、経営の視点とITを結びつける役割として重要なのがCIOであり、経営的視点からITを使うべきでないと判断するのもCIOの重要なミッションなのです。経営とITは一体化してきている。だからこそ、使わないという判断も重要なのです。一度経営の立場から、自分はこのようなKPIで経営を判断しているというものを見つめなおし、その情報がITによってより簡単に早く手にいれることが出来ないかをCIOと一緒に考えてみてはいかがでしょうか?
今回で、2008年の「今年の経営者が知るべきバズワードの裏側」も12回目を迎えることが出来ました。この連載では経営の視点からITを考えることによって、バズワードの本質を考えていきたいという狙いがありました。ほとんどのバズワードは、その言葉が独り歩きしてしまい最終的には飽きられて消えて行く運命にあります。しかし、バズワードが誕生するきっかけは、やはり強いニーズがある事は確かです。バズワードは言葉としては消えてしまいますが、考え方の本質は消えることはありません。なぜなら強いニーズが支えているからです。おそらく他のキャッチーな言葉で、同じ考え方を表すバズワードが再登場するのでしょう。再登場したバズワードと同じ意味の前のバズワードの違いを議論するほど無意味な事はありません。ここでは、1つのバズワードを掘り下げ考え方の本質まで理解し、何度も登場するバズワードに惑わされることのない本質の議論をするきかっけになれば幸いと思っています。
また、来年も様々な視点でITを見られるようなお話をしていきたいと思っています。これまで連載を通しての叱咤激励ありがとうございました。
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。