#3:オフショア開発、H-1Bビザ、IT技術者不足
米国のIT技術者を怒らせたいのであれば、オフショア開発とH-1Bビザ(特殊技能者用の短期就労ビザ)の話題(関連英文記事)をするに限るだろう。米国のIT技術者は、高い給与が期待できるIT関連の仕事がインドを始めとする外国に移転されるとともに、米国人労働者よりも低い給与で満足する外国人労働者がITの仕事を行うために米国に招き入れられていると主張している。
一方、雇用側やITリーダーらはこういった主張に対して、H1-Bビザやオフショア開発の影響というものはメディアによって誇張されており、募集しているすべての職に対して、適切なスキルを有したエンジニアやITスペシャリストを確保することが困難な状況は現在でも続いていると主張している。
どちらの言い分も正しいということなどあり得ない。では、真実はどこにあるのだろうか?残念なことに、データを見てもはっきりしたことは判らない。いずれの主張に対しても、その根拠を裏付ける合理的な統計データが存在しているのだ。とは言うものの、明らかに言えることは、雇用側とIT技術者との間に大きな隔たりがあるということと、IT分野において成功するために必要となるスキルは常に流動的な状態にあるということである。
#2:仮想化とユーティリティコンピューティング
仮想化というソリューションはIT業界において何年も前から存在している。しかし、データセンター内に仮想サーバや仮想ストレージを配備するという最近のトレンドは、ITマネジメントやIT経済を変革しつつある。こういったことの主な目的としては次の3点が挙げられる:1)サーバの配備や保守を効率化する、2)エネルギーコストを削減する、3)より柔軟なITインフラを構築する。
また、仮想化という現在の波は、IT部門やデータセンターが目指すべき次なる段階、すなわちユーティリティコンピューティングに向けた素地を作ってもいる。ユーティリティコンピューティングでは、顧客が実際のハードウェアを購入するのではなく、サーバやストレージの能力を購入するということになる。また、ユーティリティコンピューティングでは、仮想化を活用することにより、ユーザーの業務量やリソースのニーズに応じてその規模を拡大したり縮小したりすることのできる柔軟なインフラが提供されることにもなる。
このモデルを採用した場合、多くの中小企業は自社でサーバルームやデータセンターを運用するのではなく、ユーティリティコンピューティングのプロバイダーからサーバの能力を購入することになる。また多くの大企業も、こういったプロバイダーからピーク時のニーズに対処するための能力を追加で購入することになる。MicrosoftやGoogleはこの市場に大々的に進出することを計画している。両社は現在、この市場が今後の5〜10年間で飛躍的に拡大することを予想し、米国や世界各地に巨大なデータセンターを複数構築している。