買収戦略でシェアを拡大したインフォアの次なる狙いは? - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-01-09 08:00

 ビジネス面では、それぞれの製品をどうマッピングすれば価値を生むか、業種の青写真をもとに俯瞰し、顧客に提案するコンサルティング専門チームを用意。加えて、技術面ではSOAの情報基盤で製品を連携させる。これにより従来ならシステム連携に必須であったインターフェース部分の開発が必要ないという。

「ERPとSCM、ERPとCRMといったように、インフォアの製品同士は何もせずに自動的に連携する。あらかじめ『Infor Open SOA』の基盤の上でのインテグレーションを可能にした。さらに他社製品との連携も視野に入れている」 (笹氏)

Infor Open SOA 「Infor Open SOA」のイメージ図。インフォアのすべてのソリューションに不可欠な要素として、SOA機能が提供される

企業間をSOAで統合しデータを可視化する

 多くの企業が、既にERPとしてSAPを導入していたり、あるいはSCMにi2を導入していたりする。そうした企業がインフォアの製品を追加導入したい場合はどうだろう。インフォア製品は業界標準団体のOAGIS(Open Applications Group Integration Specfication)が定義したデータフォーマットに準拠しているため、導入済みのパッケージとも連携できると笹氏は説明する。必要であれば、顧客の既存システムに、オープンなSOAのソケットを埋め込み連携させることも可能という。

「近年、日本の企業でもM&A戦略でビジネスを拡張するケースが増えてきた。そうなると、世界中で同じシステムを使っている企業はまれだろう。それぞれ別々のシステムが動いている環境に対して、昔のようにシングルインスタンスの巨艦のようなシステムを投入し、統一するのは難しくなっている」(笹氏)

 そうした場合に、必要なソリューションだけをSOAベースで連携して使えるのであればTCOを抑えられる。インフォアでは、ここ1年間をSOAベースの連携を実現するための研究開発に費やしてきたという。

「それぞれのERPが稼働している環境が存在する状況で、それぞれのERPのデータを可視化する必要がある。インフォアでは、複数存在するERPなどのデータを、すべてSOAベースで吸い上げ、統合して可視化する環境を構築しようと考えている。買収で成長してきたインフォアが、こんどは独自のSOAサービスコンポーネントを開発している」 (笹氏)

 ビジネスがますますネットワーク化することを意識し、今後3年ほどはSOAのコンポーネント開発に集中していくという。インフォアは、買収戦略から独自ソリューションの開発へと大きくかじを切ったのである。

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