一方、SANを導入するということはすなわち“ネットワーク”を導入することであるから、その導入と運用保守の負荷を考慮しなければならない。これらはDAS環境では基本的には意識する必要がなかったものであり、SAN導入におけるデメリットであるといえるかもしれない。SANの導入、管理に伴う負荷としては、以下のものが挙げられる。
- SANを“設計(デザイン)”する負荷
“ネットワーク”を設計することが必要である。このためにはSAN、サーバとストレージ、さらには必要に応じてアプリケーションに関する専門知識が求められる - SANを“導入”する負荷
SANを構成する機器を導入するコストが必要となる。具体的にはケーブルやスイッチ、アダプタ(FCの場合はHBA<Host Bus Adopter>)などである。SANでは多様なトランスポートプロトコルに対応しており、要件やコストに合わせて自由に選択できる - SANを“監視”する負荷
SANには多数のコンピュータとストレージが接続されるため、“ネットワーク障害”の影響もより大きくなる。SANの停止は「コンピュータがストレージアクセスできなくなる」ことを意味し、多くの場合、コンピュータが全く使用できない状態になる。したがって、その監視には細心の注意が求められる - SANを“拡張”する負荷
SANはネットワークであるから、当然拡張することができる。これはSANのメリットだが、拡張の時期や方法などを、管理者が検討する必要がある
確かに導入や運用面ではSANを利用することによる負荷が存在し、そのために「SANは面倒」といわれることもある。しかし、これらの負荷を軽減する技術や製品もベンダーから提供されており、SAN利用のメリットは享受しやすくなっている。総合的に判断しても多くの場合でSANはメリットの方がデメリットよりも大きく、導入を検討するに値するだろう(図5)。
次回は「ストレージネットワークの用途」と題し、SANやNASが実際にどのように使用されているのかを紹介する。次回も是非、お付き合いいただきたい。