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ERPで企業が幸せになるために必要な3つの視点 - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-02-06 20:29

重い負担となっている保守費用

 保守費用も悩ましい問題である。一般的なERPパッケージの標準のサポート期間は5年。保守料金は購入したライセンス料の20%が相場であり、保守費用は5年間でライセンス料と同額になる。サポートの延長も可能だが保守料金は割増となるため、ユーザー企業はそのタイミングでアップグレードを検討することになる。そして、最初に述べたアップグレードの課題に直面するのである。

 ERPシステムもソフトウェアであり、次々と機能が追加されていく以上、バクが100%なくなることは現実的にないし、修正パッチは当然必要なためサポート契約をしないわけにもいかない。その点では、カスタマイズを行わず、定額保守料のみで、無償バージョンアップによって機能拡張を行うというアプローチをとるワークスアプリケーションズはユニークな存在である。

ERPシステムは業務統合の大黒柱

 急激なグローバル化の波にさらされた1990年代の日本企業が、厳しい国際競争での生き残りをかけてBPR(Business Process Reengineering)に取り組もうとしたとき、業務統合にあたって必要とされたのがERPパッケージだった。

 ERPパッケージの魅力は、大規模な業務統合システムを自社で一から構築する必要がないこと。そして、グローバルスタンダードのビジネスプロセスや、洗練されたデータモデルが提供され、それに基づいて業務を統合できること。業務プロセスが連携し、データを一元的に管理でき、業務間で即時に更新が同期されて整合性を高く保てることだ。

 実際には、生産管理や倉庫管理といった分野の業務については、専用システムをERPシステムにインターフェースして使う企業が多かった。あらゆる業務を統合したケースは稀で、ほとんどがバックエンドの業務である間接部門の業務統合だった。伝票のフローに基づいてお金の流れを管理する会計分野から浸透し、人事・給与、CRMと徐々にその裾野を広げてきたのである。

 厳しい経済環境の真っただ中にある現在においても、これからの10年においても、ERPシステムの役目は変わらない。企業にとって、業務プロセス間の連携、データの一元管理という「大黒柱」を失うことは考えられないからだ。その上で、競争力を生み出す源泉となっているような特殊な機能については、独自モジュールをSOAの基盤でサービス化して連携させることになる。また、外部のSaaS型サービスとの連携も選択肢となるだろう。

 今後ユーザーには、ERPシステムの投資対効果を高めるためにも、組織全体のシステムアーキテクチャを見直す目と、ERPシステムと連携する新技術を評価する目、そして外部サービスを見極める目、といった3つの視点が求められることになりそうだ。

 余談だが、フランスの公会計システムは、各省や地方機関がSAPで統合され、予算と決算がたいへんクリアになっているという。日本の財政を管理する官庁会計システムは手組みで開発中のようだが、いっそのこと、ERPパッケージを入れて各省を統合管理し、ガバナンスを効かせて特別会計の中身も「見える化」してはどうだろう。税金を納める国民に対して、会計がフェアであることを示せ、「埋蔵金」などと騒がれることもなくなるのではないだろうか。

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