この2つが、中学生の時に習ったx軸とy軸のように関係し合っていて、その座標平面上で人間は動く。実はこの話、20年ほど前に昔の同僚と雑談する中で出てきたのですが、妙に納得しました。得をするし良いことであれば、人はやりたがる。しかし逆に損するし、しかも悪いことならば、進んでやる人などいない、と。
横軸であるx軸の右側を良いこと、左側を悪いこと、縦軸であるy軸の上側を得すること、下側を損することとして図を書けばわかりやすいでしょう。右上の第1象限は「得もするし良いことでもある」。反対に左下は「損するし悪いこと」の象限となります。
では、左上と右下の象限は?
左上の象限は「得するけど悪いこと」。究極は金銭目的の強盗殺人などです。結果的にこの行為が「得すること」かどうかは別として、その犯罪者は短期的にせよ、そう思って行動したと言えるでしょう。
右下の象限は「損をするけど良いこと」。総合的に判断すれば、損することではないにせよ、自分のお金がなくなることを損ととらえれば、例えば、慈善団体に寄付をする行為でしょうか。ボランティアとして働くことも、本来ほかのことをして稼くことができる自分の時間を提供するという意味では損をしますが、ボランティアとして良いことをする行為ですよね。
これら損得、善し悪しの行為の多寡はあっても、この座標平面の中で人間の行動は示されるというわけです。そう考えると、何となく自分がとっている行動や他人がとっている行動の理由がわかると思います。
損得、善し悪しだけでは説明できない行動も
こうして人の行動は損得、善し悪しで説明できると納得した私だったのですが、改めていろいろな場合を考えてみると、なにか腑に落ちない行動というものが出てきました。
さきほど「進んでやる人などいない」と言った象限、つまり「損するし悪いこと」。明らかにそういうことをやっている人もいる。例えば、最近でもよくある「盗撮」のような行為。ばれてしまえば、逮捕され、会社をクビになったり、学校を退学になったりする。法を破るという「悪い」ことであり、経済的なことからすると会社を懲戒免職になるといった「損」をする行為ですよね。
しかし、なぜこういうことをしてしまうのか? ……この続きは次回にお話しすることにしましょう。
筆者紹介
田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク!」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
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