Citrix Systemsが米国時間2月23日、「Citrix XenServer」ハイパーバイザの無料版を提供すると発表し、仮想化分野における競争は激しさを増した。
Citrixによると、無料版XenServerは3月末までに同社のサイトでダウンロードできるようになる。同社最高技術責任者(CTO)のSimon Crosby氏によると、ユーザーはXenServerのサーバインスタンスを1つ入手できる。提供される機能には、マルチノード管理、複数サーバ間でのリソース共有、仮想マシンを動かしたままで物理マシンを移動できる「XenMotion」の完全機能などが入る。
ただし、Crosby氏がZDNet UKに語ったところによると、無料版には「われわれが引き続き収益化していくいくつかの機能は含まれない」という。
たとえば、日常業務の自動化に利用されるオーケストレーションツール「Citrix Workflow Studio」や、マネージャーが仮想マシンを直ちにプロビジョニングできる「Citrix StorageLink」は含まれない。これらを入手するには、同社の「Citrix Essentials for XenServer」パッケージを購入する必要がある。価格はXenServerがEnterprise Editionなら1500ドル(1000ポンド)、Platinum Editionなら5000ドルとなる。
Citrixとは長年のパートナーであるMicrosoftのシステムセンター管理部門の責任者、David Greschler氏は「この動きを歓迎している。こうしたツールは高速で、無料で、互換性があり、どこからでもアクセス可能であるべきだという当社の精神と一致するものだ」と話している。
Microsoftはすでに同社のハイパーバイザ「Hyper-V」を、「Windows Server 2008」の機能限定「Server Core」インストールオプションとあわせて無料で提供している。
また同じ23日にCitrixは、サーバ仮想化分野でMicrosoftとの協調を深める、「Project Encore」という取り組みを発表した。このプロジェクトの最初の成果として、4月7日にMicrosoftのHyper-Vに対応した仮想化管理パッケージ「Citrix Essentials for Hyper-V」がリリースされる。パッケージには、Hyper-Vの仮想マシンとXenServerの仮想マシン双方に向けた、ハイパーバイザ相互運用やストレージ統合を行うツールが入っている。
Microsoftの仮想化戦略担当ゼネラルマネージャーMike Neil氏は声明の中で「『Citrix XenApp』は20年近く、アプリケーションデリバリ分野でWindows Serverプラットフォームを拡張してきた。Citrix Essentialsは、それとほとんど同じあり方で、エンタープライズ分野において顧客にHyper-V採用の加速を可能にする、強力な拡張だとわれわれは見ている。Microsoftも、将来リリースする『Microsoft System Center』において、Hyper-VとXenServerが混在する環境の顧客のためCitrix XenServerへの対応に取り組む」と述べている。
Citrixの2つの発表が行われたのは、仮想化ソフトウェア市場をリードするVMwareが後援し、密接な結びつきを有するカンファレンスVMworld Europe(2月24〜26日)の開幕日前日だった。VMwareもまた「VMware ESXi」で、無料のスーパーバイザパッケージを提供している。
調査会社Gartnerによると、仮想化分野は急速に成長している。同社は、仮想化ソフトウェアの世界売上は2009年、27億ドル(19億ポンド)と、2008年の19億ドルから43%増加すると予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ