ログ管理を成功させる7つの方法 - (page 3)

梅田正隆(ロビンソン)

2009-03-10 11:30

社員から最低限のコンセンサスをとっておくべし

 ログを取得することを事前に社員に周知しておかないと、そのことが社員に知られた時に、「会社は社員の行動を監視しているらしい。俺たちを信じていないのか !」と一部の社員が神経質になることがある。中にはプライバシーの侵害だと言い始める社員も出るかもしれない。そこで、社員とは、情報システムの利用やログの取得について最低限のコンセンサスをとっておくことが大切だ。「ログは、社員が悪いことをしていない証明にもなる。」と山本氏。

問題の解決プロセスでは関係部門担当者とよく議論すべし

 多くの場合、社外にまで明るみになることなく終息しているのかもしれないが、企業の中では、日々大小様々な問題が起きている。そうした問題がビジネスの現場から社内の然るべき担当者にエスカレーションされ、初動対応が完了した後、リスク管理担当者やセキュリティ担当者は、根本的な原因の究明を図り、再発防止策を講じる。このような場面において、システム上のログを解析し、問題の発生傾向を調べることは有用だ。また、この時、法務担当者やIT担当者らの社内の専門家とチームを形成し、異なる視点から議論していくことも重要である。山本氏は「日常的に起きている様々な問題を見てみると、根本的な原因には共通点が多い。」という。

ログの調査プロセスについてもポリシーを策定すべし

 何らかの問題が発生し、ログを調べるとき、その調査作業を誰が実行し、誰が承認するのか。経営層の承認までを明文化したポリシーを準備しておくことが重要だ。また、ログ管理担当者やIT担当者、経営者といった強い権限を持つ人が、悪意を持ってログを改ざんした場合にも証拠が残るようにしておくべきだろう。

運用においてはコストを意識すべし

 闇雲にログを取ってしまうとストレージを浪費することになり、その分コストはどんどん膨らんでいく。また、業務の妨げになるほど多数の監視エージェントを走らせて、ネットワークの帯域を圧迫してしまうのもやり過ぎである。ログ管理は、コストを意識して実行すべきだ。山本氏は「必要性の検討段階で、発生し得るコストをしっかり分析することが重要。」と指摘する。

取ったログが活用できているかを意識すべし

 不正と思しき事態が発生した時、事実関係や原因を調査するためにログを検索するといった、受動的なログの活用方法は誰でも容易に想像できる。ログは、これに加えて何かが起こる前触れを知らせてくれる情報でもある。しかし、ログを監視し、致命的な事態に陥る前にそれを未然に防止するためには、ログの特徴を熟知していなければならない。ログ管理ソフトウェアは、製品によって取得できるログが異なるため、「ツールがどこまで管理担当者をサポートしてくれるか」がツール選びのポイントになるだろう。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. 経営

    プロが教える“使える業務マニュアル”--作成・運用を実現する3つのポイント

  5. セキュリティ

    生成AI活用の潜在的なセキュリティリスクに準備しておくべき「6つの戦略」とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]