対するFalconStor CDPの場合、高速にリカバリすることができるという。サーバに“エージェント”を配布してFalconStor CDPは、そのサーバから常にデータの「差分の差分をリアルタイムにバックアップしていく」(同氏)。そうした技術を活用するFalconStor CDPの「リカバリは10分で済む」(同氏)という。山中氏の説明によれば「FalconStor CDPは数百台のサーバにも対応できる」としている。それによって、「運用の省力化」(同氏)というメリットももたらすことができるとも説明する。
ファルコンストア・ジャパンは同社製品を高速リカバリソフトというキーワードで説明するが、それにもう一つ“事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)”というキーワードを用いる。
「FalconStorはBCPをターゲットに高速リカバリソフトのCDPを開発し、製造している会社です」(山中氏)
DRはあくまでも自然災害が起きた時の対応策となるが、自然災害も含めて何らかのトラブルに遭遇した際に、事業を継続させるためにはどのようなことが必要なのか、どのような対処をすればいいのかを計画を立てるのがBCPである。BCPの一部としてDRは成り立つことになる(DRとBCPの関係、BCPを包含する事業継続管理=Business Continuity Management:BCMについては特集<「もしも」に備えるBCM>を参照)。
ステークホルダーにどう説明するのか
ファルコンストアが「BCPをターゲットに高速リカバリソフトを提供する」とするのは、日本企業のBCPに対する取り組みが“BCP先進国”とも言える米国とは若干様相が異なるからだ。山中氏がこう説明する。
「米国のBCPでは、いかにリカバリするかが大きく問われている。それに対して日本のBCPは、“データを保存しておけばいい”という意識が強い」
山中氏の説明によれば、日本国内の情報システムのほとんどはデータのバックアップがなされているものの、リストア設計あるいはテストが行われていないという。「こうした状況で“いざという時”に問題なくシステムや業務を再スタートできるか」(同氏)という課題が残る。
BCPでは、自然災害以外の要因によってシステムに障害が発生し、それによって企業のビジネスそのものが停止からいかに復旧するかが問われる。たとえばハードやソフトの不具合、あるいは操作ミスを原因としたシステムの障害からいかに復旧するかも問われるのである。そうしたシステム障害あるいは地震などの自然災害が発生した際に、ビジネスが停止して、企業として損害を与えたとしたら、顧客や取引先、株主などのステークホルダーはどのように思うだろうか。
2007年に新潟県中越沖地震では、自動車エンジンの燃費・環境性能を左右する重要部品のピストンリングで国内シェア50%、世界シェア20%を占めるという自動車部品メーカーが被災。その自動車部品メーカーからのピストンリングの出荷が止まったことで、トヨタ自動車、本田技研工業、日産といった完成車メーカーが数日間にわたって国内生産を全面的に休止するという事態が起きた。損害額は3000億円以上とも言われている。
冒頭のRisk Indexを見ても、またこうした実例を見ても、日本企業にとってBCP策定とその後の訓練は、必要不可欠なものであることは誰の目にも明らかだろう。こうした意識の高まりは行動として表れている。IDGジャパンや野村総合研究所の調査を見ると、BCPに取り組む日本企業の数は着実に増えていることが分かる。
そうした状況を睨んでファルコンストア・ジャパンでは、この2月から新製品の販売を始めている。FalconStor CDPをハードウェアアプライアンスにした「Quick Recoverio」とFalconStor VTLを同じくアプライアンスにした「Tanker Deduplio」だ。
この2つの製品は、中堅・中小規模の企業でも導入しやすいようにアプライアンスとして開発されており、価格も手頃なものになっている。Quick Recoverioは490万円(税別)から、Tanker Deduplioも490万円(税別)からとなっている。
地震をはじめとする自然災害は、決して大企業だけに被害を与えるわけではない。もちろん中堅・中小企業にも被害を与える。どんな企業にもBCPは必要だ。どのようにしてシステムをリカバリしていけばいいのか、今すぐにでも検討を始めるべきだろう。