在宅勤務に積立休暇、社員に多様な働き方を--「あったらいいな」を実現する企業:富士通 - (page 2)

遠竹智寿子

2009-03-24 08:00

 「広報」と聞くと、取材対応や社内外調整の多い職種なので「在宅勤務って可能なの?」と疑問に思いますが、大山さんは「在宅日には、主にメールを中心とした仕事をしています。また、社員向けに課せられるEラーニングの課題なども、集中できて効率がいいので在宅日にやるようにしています」とのこと。なるほど! 確かに今回の取材前後にも何度かやりとりをさせていただきましたが、連絡はメールが中心だったので、大山さんがオフィスにいるのか自宅にいるのか意識することはありませんでした。

 在宅勤務のメリットについて大山さんは、「やはり通勤時間がかからないことです。午前はみっちり仕事して、午後に子どもを病院に連れて行きたいと思った時にもバタバタしなくてすみます。さまざまな工夫をすることで時間の有効活用ができ、育児や家事に役立っています」としています。大山さんは2008年9月、産休明けで職場復帰する際に上司と相談し、在宅勤務を申請したそうです。勤務形態を選べるのは、産休や病気などの休職後、職場復帰への地ならしとしても、家庭、会社の両方でさまざまなメリットがありそうです。

 塩野室長は「在宅勤務を週2日までとすることで、会社でやるべきことと自宅でできることを切り分け、自分で効率化を図ることが可能になっているようです」と話します。会社側のメリットについては「家庭での時間を長く確保でき有効的に使ってもらい、ベストな状態で業務を行うことで、社員の生産性が向上します。各マネージメント側からも、問題なくうまくいっていると報告を受けています」とのこと。現在、上司との話合いで承諾を得た社員約80名が在宅勤務を継続中ですが、今後正式な制度としてどのように取り入れていくかは「まだ検討段階」と塩野室長は説明しています。

 お話を聞いていて、一昔前とはインフラなどの環境も大きく変わり、やり方次第で在宅勤務への間口が広がっていることを感じました。勤務状態が目に見えないという条件の中で、個々の業務への自覚と責任、あるいは社員と会社との信頼関係といったものがすでに構築されているからこそ可能な勤務形態なのでしょうね。

最長20日の休暇も!

 次に、積立貯金ならぬ「積立休暇」について説明しましょう。これは、通常の年次にもらえる有給休暇以外に取得できる有給の休暇で、積み立てておいて、いざという時にまとめて取得できるというものです。その仕組みは以下のとおりです。

  1. 毎年5日ずつ最長20日まで蓄えておいて、まとめて使うことができる。通常の有給休暇は1年のみの繰り越しだが、積立休暇は最長20日という枠であれば毎年繰り越せる

  2. 本人の病気や入院、子どもの看護、家族の介護、ボランティア参加、不妊治療の際に利用できる

 この制度を導入したのは、通常の有給休暇を消化しない社員が多く、ヒアリングしたところ「病気などで、いざという時に使いたい」との声が多かったことが発端となったそうです。また、富士通では法律に基づいた育児休職もありますが、その期間は無給のため男性が取りづらいということもありました。塩野室長は「積立休暇の範囲内であれば、20日間を育児休暇に充当して使えます」と説明します。制度自体は1994年からあるものですが、取得理由については変更が加わってきたとのことです。

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