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標準カーネル統合間近!TOMOYO Linuxの足跡:第2回--押し寄せる危機の連続 - (page 3)

富永恭子(ロビンソン)

2009-03-17 11:00

 OLS2008のBOFでは、Linux用IPv6プロトコルスタック「USAGI」の開発者として、Linuxのメインライン化をすでに体験しているUSAGI Projectの吉藤英明氏から「TOMOYOのメインライン化への状況はどうか」との質問が出た。

 「Al Viro氏のOKが出ず、理由を聞いても答えてくれないので困っている」と答えると、同席していたSELinuxのStephen Smalley氏が、「自分はそうは思わない。彼らは既に回答したから答えないんじゃないか?」と発言したのだ。

 「Stephenの言う通り、返事をしてくれないと我々が思っていたことが、実はすでに指摘されていて、それを見落としていたとしたら。指摘を活かさず、繰り返し同じようなパッチをLKMLに投げ続けているとしたら……。そう思ったとたん、心が凍り付いた」(原田氏)

救世主Andrew Morton氏の登場

 オタワから戻った原田氏は、すぐにプロジェクトのメンバーを集めてStephen Smalley氏の意見を伝えた。

 「過去は変えられない。Stephenの言っていることが、100%正しい保証もない。それでも過去の議論を振り返ることは必要だし、この先活動を続けるならば義務だとも思った」(原田氏)

 開発者である半田氏と武田氏がメーリングリストを振り返り、Al Viro氏の過去の発言を元に指摘を推測した。その結果をLKMLに投稿したのが、2008年の8月19日だった。しかし、返事はこない。9月2日に再投稿したが、やはり返事はこなかった。

 「ただ、今回は正しい方法を取っているという自信があった」(原田氏)。しかし、自信があっても答えてもらえなければ先には進めない。

 苦慮し続ける中で、ふと6月にJapan Linux Symposiumで会ったAndrew Morton氏が、「困ったことがあれば俺に聞け」といっていたのを思い出した。TOMOYOチームは、すぐさまMorton氏に相談した。

 「Al ViroにIRCで聞いてみたよ」という彼の答えは、「Alは、LSMの変更はfsの変更を伴うので、ダメだと言っている。だから、LSMインターフェースの拡張で行け」というものだった。プロジェクトメンバーは、Morton氏に感謝しつつ、情報に基づくパッチを作成してAl Viro氏に送った。9月11日のことだった。以後、TOMOYO Linuxのプロジェクトチームは、失った時間を取り戻そうとするかのように、ほぼ毎月パッチを投稿しつづけた。

 12月17日、ついにTOMOYO Linux宛にAl Viro氏からの返事が届いた。それは、TOMOYOを追加するために必要となるインターフェースの修正を知らせるものだった。LSMのインターフェース拡張作業は2009年1月に完了し、「これでメインライン化への『外堀』は埋まった」(原田氏)

 そして、2月12日、James Morris氏のリポジトリへTOMOYO Linuxは統合された。

TOMOYO Limuxプロジェクトチーム TOMOYO Limuxプロジェクトチーム

 (第3回は3月18日に掲載いたします)

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