繰り返しになるがデータセンターには大量のサーバとストレージが配置されるため、もはや“物理”的な管理は困難になっていくだろう。そこで、連載の第2回でも紹介した「仮想化」技術が重要な要素技術となる。
サーバ仮想化、そしてストレージ仮想化技術を用いて物理リソースの制約を取り除くことで、データセンターのインフラ管理者(=サーバ/ストレージ管理者)は、「サーバプール」と「ストレージプール」の中から「必要なときに必要なリソース」を自由に使用できるようになる。これからのデータセンターのインフラは、このような“仮想化されたインフラ”を中心に構成されるようになっていくだろう(図2)。
データセンター内での“統合された”ネットワーク
これらのインフラの中心に位置するのが、これまで紹介してきた「ストレージネットワーク」である。特にブロックアクセスを担うSANでは、これまでには考えられなかったような巨大なSANインフラがデータセンター内に構築されるようになる。
だが、データセンター内にはSANだけが存在しているわけではない。当然LANも存在するし、Infinibandなどその他のネットワークも存在している可能性がある。それぞれのネットワークが大規模化し、データセンター内で並立するような状況は、インフラの導入や運用、さらに管理コストを考えると避けるべきだ。
これを解決するキーワードは、ここでもやはり「統合」である。つまり、データセンター内に“統合ネットワーク”を構築し、運用管理をそこに集中すればよい。
この統合ネットワーク上ではIPトラフィック(LAN)やストレージI/O(SAN)、さらにはサーバ間のクラスタリング通信(Infiniband)など、あらゆる種類のデータが処理される。またこの統合ネットワーク上では、これまで別々のネットワークを必要としていたファイルアクセスとブロックアクセスも同時に処理される。これらのトラフィックに必要とされる要件は多種多様であり、さらに前述の通り“仮想化された”インフラを前提とするものでなければならない(図3)。

これらのニーズに対応する“統合ネットワーク”とは、一体どのようなものになるだろうか。現在SANで最も普及しているのはファイバチャネル(Fibre Channel:FC)によるFC-SANであり、一方LANのインフラとして最も普及しているのはイーサネット(Ethernet)だ。
「FCとEthernetの間には技術的に互換性がなく、別々に構築する必要がある」ということは第3回でも説明したが、市場規模や現在使用されているネットワークの規模という観点で両者を比較すると、Ethernetの方が圧倒的に勝っている。
したがって「Ethernet上でFCの通信も行う」、つまり「Ethernetに統合する」のが自然な流れである。これを実現する技術として現在、Ethernet上でFC通信を実現する「FCoE(Fibre Channel over Ethernet)」の標準化が進んでいる。
ただしここで考慮しなければならないのは、FCがこれまで担ってきたストレージへのブロックアクセスに求められる要件である。EthernetはFCに比べると、大容量のデータを効率よく、しかも高い品質で送受信することには適していない。
そこで、ブロックアクセスのような通信種別にも対応できるように“Ethernetの拡張”の議論が行われている。主にデータセンターでの使用を想定した、この“拡張されたEthernet”は、2010年頃から普及し始めると考えられている。
統合ネットワーク“CEE”を実現する技術
繰り返しになるが、データセンターでは“ネットワークの統合”に対するニーズが高い。そしてこの“統合ネットワーク”の主役となるのは、市場規模や普及の度合いなどから判断すると、Ethernetになると予想される。ただし、それは単なるEthernetではなく、FC、つまりストレージトラフィックの通信などにも耐えうる“拡張された”Ethernetである。
現在、この“拡張された”Ethernetの上でFCの通信を行う技術の規格化が進んでおり、この技術がFCoEである。FCoEは、FCをEthernetで“カプセル化”する技術である。
ここまで“拡張されたEthernet”という表現を繰り返し使用してきたが、これを「CEE(Converged Enhanced Ethernet)」という。FCoEはCEE上で動作することが前提であり、FCoEは厳密には「FCoCEE」と表現するのが適切である(図4)。
