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IBMのSun買収に感じる違和感 - (page 2)

飯田哲夫(電通国際情報サービス)

2009-03-24 19:30

Sunが象徴するもの

 90年代のSunは、その卓越した技術力でUNIXマーケットを席巻した。その後に同社が開発したJavaは、プラットフォームに依存しないユニバーサルな開発言語であり、Sun=オープンというイメージを強く植えつけるものとなった。Javaそのものはプラットフォーム・フリーな開発言語であるが故にSunのハードウェアの売上に直結する訳ではないが、オープン化することで市場を拡大するというモデルへの試みであったと言える。

 そして、サーバー市場でのシェアが低下する中、Sunが2005年に打ち出したのが、Solarisのオープンソース化であった。自らの貴重な資産であるOSをオープンソース化することで、エンジニアコミュニティを活性化させ、それをサービス及びハードウェアの売上に結びつけようという試みであった。そのオープン戦略による業績向上が見え始めた中で今回の不況に突入したことになる。

 Sunはサーバー分野で競合するIBMやHPと比すれば非常にニッチな存在であるが故に、戦略的自由度は少なく、それ故に選択される戦略は、Javaの開発やSolarisのオープン化のように非常に先鋭的かつ挑戦的である。それは、スケールプレーヤではないが故の宿命でもある。

Sunの買収とは

 IBMがハードウェア・ビジネスを強化することにも違和感はある。また、買収の規模の大きさとその市場へのインパクトの大きさから実現性への疑念も強い。しかし、このニュースを最初に聞いたときに感じた違和感というのは、こうした論理的なものではない感覚的なものである。

 IBMもオープンソースに対しては非常に積極的な投資を実施していることで有名である。しかしながら、IBMのオープンソースに対する関わり方には、戦略的な意図があるのに対し、Sunのオープンソースに対する関わりかたは宿命的なものを感じる。IBMはその特許取得数で有名なように研究開発にも余念がない。しかし、IBMのイノベーションがより漸進的な印象であるのに対し、Sunのイノベーションはより破壊的な印象を持つ。この議論は全てを精緻に語るというよりはイメージとしての議論であるが、こうした両社の感覚的な相違が今回の買収に関わる違和感の根源ではないかと思うのである。

筆者紹介

飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。92年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
※この連載に関するご意見、ご感想はzblog_iida@japan.cnet.com までお寄せ下さい。

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