この連載の5回目(「BPMの定義」言えますか?)でも触れたが、BPMの考え方は、その前身となったビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)での反省を基に生まれてきた。
BPRでは、経営の基盤となる組織やITにまで影響が及ぶ大規模な変革を一気に推し進めようとしたことで、変革プロジェクトそのものが自己目的化してしまうケースが多かった。そして、「BPR=人減らしの手段」という誤解も重なり、BPRは「一過性の活動」として徐々に忘れ去られていった。
BPMでは、こうした反省から、一過性ではなく、活動の「継続性」を重視している。「管理(良い状態を維持すること)」を意味する「マネジメント」という言葉には、「継続的な活動なしには企業の良い状態を維持できない」という思いが込められているのだ。
適応すべき変化は次々と起こる
では、なぜ継続的な取り組みが必要なのだろうか。その理由として、企業を取り巻く環境の変化スピードがますます速くなってきていることが挙げられる。
流行は目まぐるしく変化し、企業は事業化や規模拡大に必要な「時間」を買うため、積極的に合併や買収を行うようになった。今回の世界的な経済危機のように、これまでに経験したことのないスピードで経済状況が激変するような事態も起きている。また、日本版SOX法のような新しい法律が作られたり、規制強化のために既存の法律が改正されたりすると、ビジネスルールの変更や、ビジネスプロセスの変更を避けて通れないケースも出てくる。
こうした様々な変化に対し、企業はビジネスプロセスを改善することで次々と適応していかなくてはならない。もし成功体験に満足して改善を怠ると、その後の成長が見込めないばかりでなく、最悪の場合は淘汰されてしまうこともある。そうした事態を避けるためには、ビジネスプロセスを進化させるためにマネジメントし続けなくてはならない。
マネジメントする際の基本となるのは、改善活動では広く知られている「PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクル」だ。このサイクルをBPMに適用した「BPMサイクル」を継続して回すことで、企業を取り巻く環境の変化に応じてビジネスプロセスを改善することができ、競争力を維持できる。