まずは「改善の習慣」をつける
とはいっても、いきなり本格的なBPMをスタートさせようとしたところで無理がある。
横川氏は、「まずは、改善という取り組みを実施していくための“組織能力”をつけることから始めるべきだ」とアドバイスする。
「ある業務に関わっている人たちが集まって話をすれば、その業務のどのあたりが課題かは何となく分かってくるはず。その課題を放置せず、改善していくという習慣を対象組織に行き渡らせておくことが、まず大切」(横川氏)。
改善すべき対象は、身近なテーマで構わない。「資料があちこちに散らばっていて面倒」→「キャビネットの位置を変えよう」、「仕事のミスが発生するのは資料がうまく整理されていないからでは」→「だったらファイリングを見直そう」といったレベルでいい。
業務を進める上で何か問題はないか、それをどう解決するかを議論し、実際に実行してみて、改善の成果を実感する(図2)。こうした小さな取り組みが社内全体で自発的に行われるようになれば、改善のための“組織能力”がついたことになる。
![図2](/story_media/20391370/090410_bpm08_fig2.jpg)
確実に進むプロセスを作る
改善のための「組織能力」がついてきたら、後は、その流れに乗せることで、ほぼ自動的に効率よく業務が進んでいくようなビジネスプロセスを抽出し、数多く作っていくこと。こうした取り組みは、プロセス志向の能力をアップさせる上でも大きな効果がある。
「ビジネスプロセスを簡単にいえば、担当者間で取り交わす“お約束”の集合体」だと横川氏はいう。
「こうしたケースが発生したら、誰が、どのようにする」といったお約束を関係者の間でルール化し、これをプロセスとして整理する。さらに、こうした小さなプロセスをいくつも用意していくのだという(図3)。
もちろん時間の経過とともに、組織や担当者が変わっていくので、そうしたタイミングでプロセスの見直しを図ることも不可欠だ。
![図3](/story_media/20391370/090410_bpm08_fig3.jpg)