また、「無限ループ」に陥らないように、少しずつ条件を変えて試すという根気強さも必要です。無限ループとは、条件分岐によって作られる輪(ループ)に当たる部分で、いつまでたってもYESにならず、ループから抜け出せない状態になることです。コンピュータのプログラムの場合、これはその間にある処理の過程が間違っていることを意味します。プログラムの暴走につながる由々しき事態です。

人間関係の場合、解決策が見つからなければ無限ループというより「堂々巡り」が起こります。例えば、いつも上司にコーヒーを入れているのに、どうやら上司は素直に喜んでいないようだといった場合。上司に100%満足してもらうことが正解だとすれば、コーヒーを入れるという条件の次の細かい条件分岐で「NO」となり、そのループを抜けていないことになります。そこで、また戻って考える――。
実は、上司の飲むコーヒーはいつもブラックだったのです。逆にあなたは、砂糖を入れないコーヒーなんて考えられないと思っている。そのあたりの想像力と観察力が少し欠けていたため、上司は満足してくれなかったのです。
ここまでお読みになって、「上司にお茶を入れる」なんて前世代的だ、と感じる方もいらっしゃると思いますが、このくらいの心遣いがないと、人の心なんて惹きつけられません。人の心を惹きつけられない人が成功するとは思えませんよね。結局、どんな小さなことでも人の心を動かすということは、人間社会で生き延びるための初めの一歩なんです。
人間の欲望を考える
人間には以下のように5つの欲求があるとよく言われます。
- 生存の欲求
- 安全・安定の欲求
- 愛・所属の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
これはアメリカの心理学者Abraham Maslow(アブラハム・マズロー)が唱えた「欲求5段階説」と言われ、上から順番に満たされると次の欲求が出てくるというものです。この段階を踏むかどうかの議論は横に置きますが、少なくとも人間の欲を端的に表している分類だと思います。
この中身をもう少し細かく考えることによって、私たちが何をすべきか、他者に何をしてあげられるかが明確になってきます。次回は、この話をもう少し詳しく説明したいと思います。

筆者紹介
田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク!」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
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