BPMのPDCAサイクルに役立つIT
2月に日本BPM協会が開催した「プロセス志向イノベーションフォーラム」で、日揮情報ソフトウェアの代表取締役社長であり、また日本BPM協会の運営幹事でコモンセンス部会のリーダーも務める岩田アキラ氏が、BPMをどう企画し、導入・展開するかについての解説を行った。
その中で岩田氏は、「BPMとは企業の俊敏性、業務効率、コンプライアンスの改善といった経営目標の実現に向けて、業務プロセスを可視化し、実行し、改善していくサイクルを、人と組織とITが上手にコンビネーションをもって進めていく考え方」と定義している。また同氏は、BPMに不可欠なPDCAサイクルの各フェーズで、ITがどのように関わるかについても説明した。
まず「Plan(業務の可視化・設計)」では、BPMN (Business Process Modeling Notation)というビジネスプロセスをモデル化して描画するグラフィカルな標準記法を使って、「誰が」「何を」「どのように」業務を行うのかの仕組み(フロー)を作り現状の把握と今後のあるべき姿を考える。例えば、作業手順の規定化、責任所掌の明確化、プロセスの定型化・標準化などを決めていく。
「Do(業務部門で共有化し実行)」では、可視化された業務フローに基づき、決められたロール(部長、課長、経理担当、事務担当など)が割り当てられた業務を実行していくが、ここではBPMを実現するためのプラットフォームであるBPMS(BPMスイート)を用いることで、ERPやCRMなどの基幹業務システムと人とを橋渡しし、業務全体をナビゲートすることができる。
「Check(モニタリング)」においては、BAM(Business Activity Monitoring)というシステムが有効となる。業務が実行される状況を常に見える化し、いつ・誰が・何をしたというログを基に、目標の達成度合いや仕事の滞留状況、生産性低下の原因などをダッシュボードで測定・分析する。これにより、現場自身がどこにボトルネックがあるのかを定量的に理解することができる。
そして「Act(改善の実行と新たな展開)」では、これらITからの情報に基づき改善ポイントを見つけ出し、業務プロセスを再設計することで、再び可視化・設計につなげていく。