PCの世界でJavaを利用するにはSunからJava実行環境を入手する必要がある。ある種の独占状態だ。しかし、Java実行環境そのものは無償であり、サンが直接利益を得ることはない。
こうしてみると多くのソフトウェアが無償で提供されていることが分かる。UNIX本体はSolarisとして発売されているが、後に実質的に無料になった。Sunはソフトウェアで利益を上げていなかったのである。
もちろん、すべてのソフトウェアが無償で提供されているわけではない。しかし、Sunと聞いて誰もが思い出すソフトウェアが全て無償というのは驚くべきことである。
ハードウェアから脱却できなかったのか
筆者はサンウォッチャーではない。また、原稿の締め切り時間の都合で、Sunの財務状態を調べる時間もなかった。だから間違っていたら指摘してほしいのだが、結局、Sunの主力製品はハードウェアなのである。
IT業界がハードウェアからソフトウェアへ、ソフトウェアからサービスへ向かう中、Sun Microsystemsの立場はかなり変わっているように思う。確かにJavaの発明と実装ではリードしているが、言語仕様は知的財産として保護されないし、Java実行環境は無償なので、果たして利益が出ているかどうかは疑問に思う。
ちなみに、当初Sunは自社製品にMotorola 68000シリーズを使っていたが、後に独自開発したRISCプロセッサ(単純な命令のみを持つため命令実行速度を最適化できる構造)であるSPARCへ切り替えた。
当時は68000のようなCISCプロセッサ(高度な命令を組み合わせることでプログラムサイズを最適化できる構造)は、あまり性能が向上できないと思われていたためだ。
同じ68000を使っていたMacintoshも、やはりRISCの一種であるIBM PowerPCに切り替えた。なお、Intel x86もCISCに分類されるが、こちらは独自の工夫によって生き残った。これについてはbuilderの連載「Windowsの歴史」で改めて解説する予定である。
サービスで収益を立て始めたIBM
当初、売却先として話題になっていたIBMがSunを獲得していたら、Sunはどうなっていたであろうか。