オラクルのサン買収:UNIXと共に歩んだ両社の昔話 - (page 3)

横山哲也(グローバル ナレッジ ネットワーク)

2009-04-21 10:57

 IBMは旧来のメインフレームOSも維持しているが、急速にLinuxへシフトしている。また、利益の多くをハードウェアやソフトウェアからサービスに依存するようになってきている。

 Javaの総本山であるSunを入手することは、Javaに対する発言力を増すには有利かもしれない。しかし、IBMは既にJavaコミュニティに対して大きな影響力を持っているように思う(筆者はJavaの専門家でもないので、こちらも間違っていたら指摘してほしい)。

 しかも、既に多くのCPUを抱えるIBMが、さらにSPARCを抱えるのはむしろリスクのように思う。「仮にIBMがサンを買収してもJavaだけ抜いて残りは再売却するだろう」と言われていたくらいだ。

オラクルとサンの親和性

 一方のOracleはどうだろう。

 OracleもまたUNIXと密接に関わりながら大きくなった会社だ。1980年代半ばまで、UNIXを実験用のOSと思っていた人が多数いた。UNIXが商用OSとしての地位を確立するのはSolarisが登場した後である。にもかかわらず、Oracleは動作プラットフォームとしてUNIXを選んだ(UNIXだけを選んだわけではないが)。

 Oracleは積極的な買収戦略によりビジネスソフトウェア分野でも高い評価を得るようになった。そういえば、Sunの宿敵であるDEC(Digital Equipment Corporation)のデータベース製品「DEC Rdb」もOracleが買収している。

 SunとOracleの製品ラインナップにはほとんど重なりがない。サーバ製品で完全に競合するIBMとは違う。さらに、Oracleは定評のあるデータベースを基盤に、ビジネスソフトウェアでの地位を固めている。そして、ビジネスソフトウェアの開発言語としてJavaは高い評価を受けている。さらに、サーバマシンをセットで販売するとなれば、Sunとの組み合わせは過不足ないものとなる。

 ついでにもうひとつ。OracleはSQL Serverに対しての、SunはWindows Serverに対しての過激な批判で知られていた。両社が一緒になれば「反Microsoft」を旗印に頑張ってくれるのではないだろうか。

 2004年の和解以来、SunはMicrosoftに対してずいぶん大人しくなったのだが、これを機会にまた頑張ってほしい。もちろん、中傷ではなく、技術面での勝負を期待している。健全な競争は社会に必要なのだ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  2. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  3. 運用管理

    IT管理者ほど見落としがちな「Chrome」設定--ニーズに沿った更新制御も可能に

  4. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  5. セキュリティ

    シャドーITも見逃さない!複雑化する企業資産をさまざまな脅威から守る新たなアプローチ「EASM」とは

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]