具体的な利用シーンとしては、複数のPCに分散しているデータの一元化や、特定PCのみで利用していたプリンタや業務アプリケーションといったリソースの共有などを想定している。中小企業のオフィスでは、重要なデータが各従業員のPCでの個人管理になっているケースが多く、印刷の度にUSBメモリにデータをコピーしてプリンタが接続されているマシンへ移動したり、発注に使うアプリケーションがインストールされているPCを使うため従業員が順番待ちをしているといった、非効率な状況が起こりがちだ。Windows Server 2008 Foundationは、このような日常のIT利用における非効率性を解消することをねらいとしているという。
マイクロソフト執行役常務で、ビジネス&マーケティングを統括する佐分利ユージン氏は、日本のホワイトカラーの生産性は米国の70%で、中小企業だけを見るとさらに低いとする統計を紹介。一方、PCはほとんどの中小企業で導入されているが、同社の調査によればサーバの導入率は1.6%にとどまり、これは米国の5分の1だという。
佐分利氏は、日米の生産性の差はIT導入比率と相関があるという見方を示し、中小企業においてもサーバ導入による業務効率の改善やコスト削減といった効果は期待できると主張した。
中小企業のIT導入に対してハードルとなるのが、専門知識を持った人材の不在や、導入コストの高さだ。Windows Server 2008 Foundationは、ハードウェアとセットでの提供に限定することで導入作業の手間を解消し、価格もクライアントPCと同等水準に抑えた。これにより、従来はサーバの利用が検討されなかった規模の企業でも、新しいPCを1台買う程度の感覚でサーバを導入することができるという。
また今回、ソースネクスト、PFU、ピー・シー・エーの3社が、Windows Server 2008 Foundationのソフトウェアパートナー企業として名乗りを挙げている。ソースネクストは「ウイルスセキュリティZERO」などの主要製品を、5月下旬以降順次Windows Server 2008 Foundationに対応させる。PFUは、同社のドキュメントスキャナ「ScanSnap」と組み合わせて利用するファイリングソフトに、中小企業向けの新パッケージを用意する。ピー・シー・エーは、「PCA会計」などの業務アプリケーションをWindows Server 2008 Foundationと同時購入するユーザーに対して、サーバ/ネットワーク対応版をスタンドアロン版と同じ特別価格で提供する。
従来、Windows Server対応のアプリケーションはクライアントPC版に比べかなり高額で提供される傾向があったが、ベンダー各社との協業により、アプリケーションまで含めても低価格で導入できるサーバとすることを目指すという。