「BPM」と「SOA」ってどんな関係?--業務とITの間にある4つの疑問に答える

富永康信(ロビンソン)

2009-04-24 19:43

 世界的な金融危機の波及による経済悪化がビジネスに根深い影響を及ぼす中、企業はさらなるコストダウンや業務プロセスの見直しに取り組もうとしている。しかし、業務のどこを見直せばいいのかわからない、あるいは業務プロセスの変更にシステムが柔軟に対応できないといった悩みも多い。

 業務改革の推進を命じられた担当者の中にも、最初の一歩を踏み出すには何から始めればいいのか、あるいはBPMの実現にあたって、ITをどのように活用すればいいのかについて不安を抱いている人もいるかもしれない。

 そこで今回は、BPMと、その推進に不可欠なIT実装の方法論であるSOA(サービス指向アーキテクチャ)の関係についての初歩的な疑問を専門家に聞いてみた。専門家のアドバイスを参考にしつつ、自社のBPMプロジェクトの推進に取り組んでみてほしい。

疑問1:そもそもBPM実現に必要なITって何?

 これまでも繰り返し述べてきたように、BPMは業務プロセスの遂行にあたって、「分析・設計」(Plan)、「実行」(Do)、「モニタリング」(Check)、「評価・改善」(Action)というPDCAサイクルを迅速に回せる仕組みを整え、かつそれを組織に浸透させるためのマネジメントの考え方だ。この考え方にのっとって業務改善を行うには、目的や視点に合せた仕組みを整え、状況を正確かつリアルタイムに計測・分析できる環境があることが望ましい。

 そうした環境の構築を支援するITツールの例としては、業務の分析・可視化を実現する「モデリングツール」、モデリングした業務情報をスムーズにIT側の部品とひもづける「インテグレーションツール」、プロセスに従って動く実行環境の「プロセス駆動エンジン」、そして実行された結果としての業務パフォーマンスを監視する「モニタリングツール」などがある。

ITにより強化されたBPM ITにより強化されたBPM。業務プロセスの変化にシステムが遅れをとらないようITサイドの対策が必要となる(出典:ユーフィット、画像クリックで拡大表示)

 ただし、企業によって業務改善の視点や目的はさまざまだ。柔軟性の高い業務基盤が求められるケースや、プロセスの可視化による迅速な意思決定が求められるケース、あるいは法令や規制に従ってリスク管理が求められるケースなどがある。目的が「変化への対応」か「パフォーマンス」か「コンプライアンス」かによって、業務改善のポイントは違ってくる。

入山秀樹氏 「SOAでシステムを部品化し業務視点で組み替えられることが重要」と語るユーフィットの入山秀樹氏。

 「業務プロセスの変化に対し、情報システムが硬直化して改革の足かせとなっている例も多い」と語るのは、SOA化の支援を行うユーフィットのコンサルティングビジネス部でコンサルタントを務める入山秀樹氏だ。

 入山氏は、2月に開催された「プロセス志向イノベーションフォーラム」で、BPM実現におけるITの活用について解説。ITが業務改善の足かせとならないために、システムを部品化し、業務視点で組み替えられるようにすることの重要性を説いた。

 「業務サイドからシステム化のリクエストがあってもすぐに対応でき、パフォーマンスやコンプライアンスなどの目的に応じた実行制御のできるITの仕組み(アーキテクチャ)が必要となる。それがSOAである」(入山氏)

疑問2:今さらだけどSOAって何のこと?

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

関連記事

関連キーワード
ユーフィット
経営

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]