オバマ大統領のように話すための5つのヒント

文:Sims Wyeth(Special to BNET) 翻訳校正:石橋啓一郎

2009-04-28 08:00

 こうしてこの記事を読んでもらえたわけだが、もちろん、あなたはオバマ大統領のように話したいわけではないはずだ。あなたは自分らしく話したいのだ。それでも、話術を学ぶものとして、あなたはオバマ大統領の演説技術を観察することはできるし、そうすべきだ。偉大な人間はみな、他の偉大な人間から学んでいるのであり、あなたも迷うべきではない。オバマ大統領の技術を学び、そこから自分の好きなものを選んで、自分の人前で話す技術を向上させるのに使うといいだろう。

 オバマ大統領は、聴衆の注目をつかんでそれを維持することの名人だが、公の場で話す人にとってはそれが一番のゴールだ。オバマ氏はそれをどのようにやっているのだろうか。この記事では、オバマ大統領の弁論技術から得られる5つの重要な教訓を説明する。

1.聴衆の関心事について話す

 オバマ大統領が初めて議会との合同会議で演説をした際、まず最初に自分自身の話ではなく、「われわれ」という視点で話をしたことに気づいただろうか。例えば同氏は、米国民の眠れぬ夜や、融資が受けられないために御破算になるかも知れない大学入学について話した。

 これは素晴らしいやり方であり、あなたも同じことができる。話の始めに、聴衆が直面している状況を一般的に定義することだ。聴衆がその話に同調して、うなずくのを見たら、彼らの念頭にある問題や課題の説明に移る。あなたの立場ではなく、聴衆の立場からスタートするべきだ。一旦彼らの注意を引きつければ、聴衆をあなたが望むところへ連れて行くことができる。

2.単純にする

 大統領選挙戦を通じて、オバマ氏は柱とした簡単で覚えやすいメッセージ、「Change you can believe in」(国民が信じられる変革)を変えなかった。確かに、一部の評論家はその単純さをあざけったが、このメッセージは同氏のパレードの先頭を飾る旗印としての目的を完璧に果たした。あなたも、報告すべき調査の結果を山のように持っていたとしても、単純さを維持すべきだ。

 まず、あなたの核となるメッセージを微調整する。オバマ氏の選挙戦の最中に行われた激しい論争が、疑いなくこのスローガン「change you can believe in」の誕生につながったように、あなたの核となるメッセージの発見にも、長い議論が伴うかも知れない。しかし、一旦議論が済んだら、その議論を表に出してはならない。あなたのプレゼンテーションを核となるメッセージにまで煮詰められるまで、あなたの持つ話題を削り込んでいく。これに成功してしまえば、あなたのすべての複雑なアイデアを、このメッセージの背後に込めることができる。

 これは、政治の場で行われる選挙戦と同じように、ビジネスの場でのプレゼンテーションでも通じる。確かに、あなたの話そうとする内容は、微妙で詳細なものかも知れないが、それはオバマ氏の政治的な立場も同じだ。同氏はこの単純なスローガンを、同氏が(多くの米国人が待ち望んできた)変革をすることのできる政治家であることを信じさせるために使い、同氏は変化をもたらすと信じるようわれわれに訴えかけた。オバマ氏はその単純なスローガンを通じて人々の信頼を勝ち取り、同氏はそのことによって、保健政策、テロリズム、崩壊しつつある経済などの、より内容の詰まった話題についても、自らのアイデアを提示しやすくなった。

 完璧な議論と説得力のある議論は違うということを理解しなければ、大きな過ちを犯すことになる。すべての聴衆は、どれほど洗練されている者でも、集中できる時間は限られており、話された情報の詳細を覚えておく能力も限られている。細かい情報を盛り込まないでおくことを恐れる必要はない。情報は選択する必要がある。完璧で詳細な議論も、聴衆に届かなければ意味がない。

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