5月病対策を別の角度から考える--田代センセーのメンタルテクニック(14) - (page 2)

田代真人(マイ・カウンセラー)

2009-05-14 08:00

 それが、いわゆる5月病なのでしょう。しかし前述のように、人間は常日頃から小さな適応を繰り返しているわけです。何も5月に限ったことではありません。だから、憂うつな気分にならないように、環境に適応できる能力、もしくは、適応せずに「逃げる」能力を身につけることが大切なのです。例えば通勤電車。満員の通勤電車は気持ちのよいものではありませんよね。誰もが好きで乗っているわけではない。であれば、満員電車を我慢するしかないのでしょうか?

逃げる方法と適応する方法を学ぶ

 いえ、満員電車から逃げる方法もありますよね。手っ取り早いのは、いつもより早い時間に電車に乗ること。誰も出社していない早い時間に出社するのもよし。会社の近くで、早朝からやっているカフェなどを見つけ、そこでモーニングコーヒーを飲みながら新聞を読んでもいいではないですか。何より早起きは気持ちのいいものです。もしくは、可能であればいっそのこと自転車通勤をするというのも手です。健康にもいいですからね。

 これは単に満員電車を避けるという例ですが、避ける方法が実は健康に良く気持ちも明るくなる方法であることにも着目してください。早起きした時間に今日することを整理して、確実にこなしていけば気分も上向いてきます。小さな目標ですね。これをクリアすることが大事です。ことごと左様に実のところ、嫌な環境から逃げる方法はあるものです。

 一方、対人関係の場合は避けられないことも多いことかと思います。人と会うこと自体が面倒くさいという状態ですね。これは少しずつでも慣れるようにするしかないでしょう。というのも、人間はコミュニケーションをとる生物ですし、1人で引きこもって生きていると、なにかしらバランスが崩れるものだからです。となれば、早いうちにそうならないよう「コミュニケーションに慣れる」ことが大切です。こればかりは、避けて通らないほうが身のためです。では、どうするか?

 人間づきあいが苦手な人が、会社生活でこれを克服しようとするとちょっと難しいかもしれません。それよりも、まずは趣味や自分の好きなことでできているコミュニティに入ることから始めたほうが共通の話もできますし、話しやすいと思います。何より会社以外の世界を見つけることは、生活のバランスを考えてもいいことです。

 何をするにも初めの一歩は必要です。自分の好きなこと、楽しいことを考える。これこそが5月病を乗り越える最大の方法なのです。

 逃げられるときは逃げる。そうでないときは楽しいことから始める。そのように考え、行動してみてはいかがでしょうか。

田代真人
筆者紹介

田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク!」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
ご意見、ご感想は mc-info@mycounselor.jp まで。

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