クラウドアプリケーションVS.ローカルアプリケーション--グーグルとマイクロソフトの戦い - (page 3)

文:Robin Harris(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-05-13 08:00

リスク評価

 ほとんどの小規模新興企業であれば、これが結論となるだろう。ローカルアプリケーションで構築するシステムと比べてコストが20分の1になるというのは、無視することができない魅力なのだ。しかし、Googleへの移行や既存システムのリプレースを検討している場合は、どういった結論になるのだろうか?

 以下は各選択肢にリスク要素を組み入れたものだ。

ソリューション ダウンタイムの年間リスク データ損失の年間リスク 調整後のTCO
Google Apps 1万9100ドル 1000ドル 9万3500ドル
Google Apps(デュアルネットワーク) 1万3200ドル 1000ドル 9万5900ドル
Microsoft製品(内部ディスク) 1万200ドル 8600ドル 20万5300ドル
Microsoft製品(外部アレイ) 7200ドル 1100ドル 23万3700ドル

 デュアルネットワークによってダウンタイムのコストが低下する一方、外部アレイによってデータ損失のリスクが低下するという点に注意されたい。

 クラウドアプリケーションのダウンタイムが大きいという点を考慮したとしても、Google AppsのコストはMicrosoft製品の半分以下となっている。Googleの可用性が上昇することで、こういったコスト面でのメリットはさらに大きくなるだろう。

 Googleが自らのアプリケーションの有効な利用方法を小規模企業の経営者に提案できるのであれば、Microsoftは斜陽化することになるだろう。

私の意見

 Googleはおそらく、Microsoftに対するコスト上の大きな強みを活かしきれないだろう。彼らは根っからの技術者集団であり、小規模ビジネスというものを理解していないのだ。20年後の彼らは現在のSun Microsystemsのようになっていることだろう。

 以下は小規模ビジネス分野においてGoogleが抱えているいくつかの問題である。

  1. プライバシー情報の収集。Googleはあまりにも多くの情報を、明確な用途も提示することなく入力させている。例を挙げると、Googleカレンダーを使用する際、あなたの持っている連絡先リストをGoogleにアップロードしなければならないのだ。何故そんなことをしなければいけないのだろうか?
  2. 存在しないサポート。ユーザーはサポートにお金を払ってもよいと考えている。Googleはそのことを知る必要がある。GoogleはGoogle Appsのサポートを提供する資格を持ったISPやVAR、コンサルタントを養成するといったことができるはずだ。
  3. ユーザーエクスペリエンスとデザイン。Googleのシンプルなホームページは、ほとんどのユーザがモデムを使用していた頃に低速の通信速度でもストレスをかけないという制約の下でデザインされた、言わば偶然の産物である。しかし、今ではそういった制約がなくなっているため、優れたページデザインとは言えなくなってきているのだ。そして、ユーザーエクスペリエンス担当(私はユーザーイグノランス担当、すなわちユーザーのことを判っていない担当者だと言いたい)のバイスプレジデントであるMarissa Mayer氏は最悪だ。Marissa、私のアドバイスに耳を傾けて欲しい。君は若く、リッチで、Googleが肌に合っていると思っているかもしれないが、他の会社に移ってみて自分が聡明なのか単にラッキーだったのかを確認して欲しい。ヒントを言うと、答えは後者だ。

 この分析における本当のメッセージは、インターネットの経済によって小規模であることの競争力が向上したということだ。クラウドアプリケーションによるインフラ構築と安価なローカルコンピュータやストレージを導入することで初期投資を最小限に抑えることができる。そして、それは今日では良いこととされているのだ。

 コメントはもちろん歓迎する。先に紹介したビデオにもあるように、私はTwinStrataの仕事をしてきているものの、この調査自体は彼らの発案である。

アップデート:この調査についてStorageMojo.comで行ったプレゼンテーションはここからダウンロードすることができる(これはZIP圧縮された3MバイトのPDFである)。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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