また、同社では低価格サーバの需要について当初「分解して部品取り用として使われているのではないか、あるいはOS代の不要なLinuxなどがインストールされているのではないか」と予想していたが、調査によってWindows Serverをインストールしているユーザーが半数近く存在し、そのうち多くのユーザーはファイル&プリントサーバ、あるいはサーバ兼用のデスクトップPCとして使用していることがわかったという。
これらの結果から導かれるのが次のようなシナリオだ。エントリ版のサーバOSであるWindows Server 2008 Foundationを搭載したサーバを、当初は低価格のファイルサーバ兼デスクトップPCとして、パワーユーザーが自宅や職場で導入する。使っているうちに、ユーザー毎に使用可能なストレージ容量を設定するクォータ機能や、複数ユーザーが1台のマシンに同時ログオンできるターミナルサービスなどに気づき、デスクトップ版OSとの差を実感する。そして、仕事でサーバOSの機能を使うようになり、同業者などにサーバのメリットを伝え、サーバの導入が中小規模の事業所でも拡大する……。

この筋書き通りに事が進むかは未知数だが、これまで企業に対してのPCサーバ拡大施策というと、旧型の業務システムのリプレースや、グループウェアによる全社での情報共有など、スケールの大きな話が中心だった。Windows Server 2008 Foundationのターゲットユーザーはそれらとは全く異なる小規模オフィスであり、「USBメモリの手渡しによるファイル共有はやめにしましょう」といったレベルからの提案だ。そうした意味では、今回のような個人ユーザーを巻き込むようなアプローチにも一定の必然性は考えられるし、OS込みで5万円以下という低価格サーバの存在は追い風になる。

一方、ハードウェアベンダーや販売代理店にとっては、台数が急激に伸びているとはいえ、利幅の小さい低価格商品がブームとなっている状況は手放しでは喜べない面もある。しかし、NTT-X Store店長の中田優氏は「Windows Server 2008 Foundationの登場が、アップセル(上位商品の提案による顧客単価向上)を考える良いきっかけになった」と話す。
中田氏は例として、SEを目指す学生に対して、学生のうちからサーバOSに触れられるリーズナブルなマシンとしてWindows Server 2008 Foundationバンドル製品を提案するといった案を挙げた。Foundation版の登場によって、従来はOSレスモデルを購入していた層にOS付きの商品を販売したり、そもそもサーバマシンに関心のなかった層を呼び込んだりすることが可能になるというわけだ。
Windows Server 2008 Foundationに関連した各社の施策は、ハードとソフトの両方が低価格だからこそ実現できる組み合わせによって、サーバ市場の裾野を広げようとするものだと言える。