そもそも女性に比べ、よほどの事情がない限り、一般的に男性はのんきです。生物学的に考えてもそうですよね。女性は子どもを産むが男性は産まない。この事実がそうさせています。女性にとって、出産はとても重要なこと。30代になって相手がいなければ、真剣に「子どもを産みたいけどどうしよう」と悩み、焦る。そして、その相手を早い段階で探そうとするのです。もちろん事情により子どもを産めない方も数多くいらっしゃるので、私は子どもを産むことがすべてだとは思いません。ただ、相談を受けているとそういう悩みが多いのも事実です。
他方、男性はそこまで切羽詰まった事情がない。女性のそういう状況までちゃんと理解している男性も少ない。昔であれば、家の「跡取り問題」や、会社での「結婚していないと出世できない」といった問題もあったかもしれませんが、現代社会ではこうした問題も部分的に残っている程度です。こうした男女の事情の違いもあって、婚活に温度差があるのも仕方がないことかもしれません。
これは、日本の社会制度にも原因があります。「子どもは結婚してから産むことがまっとうで、それ以外は例外である」かのような数々の制度や法的判例もあります。だから、子供を産むためには結婚が重要になるのです。一方、早くから少子化を問題視し、社会的な制度も随時変更している先進的なフランスでは、近年では「パックス（pacs）」と呼ばれる准結婚制度を導入し、結婚制度を緩やかなものにしました。また、出産と結婚とを区別し、生まれてきた子どもが差別されないような社会環境を作ろうとしています。
日本では社会制度がまだまだ未熟です。だからこそ、みな婚活にも真剣なのです。ただ、1つだけ申し上げるとすれば、結婚の成否は結婚するまでわからない、いや、死ぬまでわからないのかもしれない、ということです。「結婚はばくちと一緒」とも言われますが、まさしくその通りだと思います。
しょせん人間、婚活が功を奏して結婚できたとしても、結局は赤の他人同士です。いまだ日本での結婚は、「家と家との結びつき」といった側面もあります。結婚後には相手方の家との付き合いも当然のごとく始まり、それが悩みの種となることも多いのです。
結局は運次第となると、あとは自分を信じて進むしかありません。人生という、バックアップできない大きな問題は、対症療法を施すしかありません。ちょっとしたケガは消毒してばんそうこうを貼る。風邪気味だったらビタミンCを多く取り、風邪薬を飲んで早めに寝る。このような対処療法が必要ですし、その方法を知っておくことが大事なのです。だからこそ、考え方を少し変えるなどして、そのときどきの小さな問題は自分で解決できる術を知っておくことが、結婚生活でも大切なのです。
筆者紹介
田代真人
マイ・カウンセラー 代表取締役。九州大学工学部機械工学科卒業後、朝日新聞社を経て学習研究社へ。ファッション女性誌「ル・クール」編集者の後、主婦向け実用雑誌 「おはよう奥さん」の創刊メンバーとして、主婦の悩みを解決する「悩み相談センター」を開設する。その後ダイヤモンド社へ移籍し、「ダイヤモンド・ブレイク！」「ビットビジネス」など数々の雑誌を編集長として創刊した後、ビジネス開発本部副部長に就任。2006年、これまでの編集経験から「人々の悩みを解決したい」との思いに至り、マイ・カウンセラーを設立。2007年ダイヤモンド社を退社し、メディアプロデュース業のメディア・ナレッジを創業すると共に、マイ・カウンセラーの代表取締役に就任する。
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