同社は現在、渋谷区にあるビルの5フロアを社屋として使用しています。受付及び会議室のフロア、事業部のあるオフィスエリア、そしてフロアの3分の2程度を利用したコラボレーションスペースも設置しています。各フロアに置かれたチャットハブは、それぞれの事業部が交差するフロアの角位置に配置され、異なる部署のスタッフが混じり合って一息つきながらコミュニケーションを図るという意図で作られたものです。
あえて事業部ごとにコーヒーメーカーなどを置いていないのも、このエリアに立ち寄らせるためのちょっとした仕掛けのようです。よく会社の喫煙室での何気ない会話が横のつながりに役立っているといった話を聞くことがありますが、チャットハブはそのイメージに近いのかも知れません。
高久部長は「気が付くと、スタッフの集まりが大きな輪になっている時もあり、コミュニケーションの潤滑油になっているなと感じています。また、部門やサービスが異なるメンバー間のアイデア交換の場ともなっているようです」と話しています。
14室の会議室は、和室、掘りごたつありの部屋、リビング風、白黒基調のモダンな部屋など、それぞれ異なるコンセプトを持つデザインとなっています。「遊び心の必要な企画アイデアの話をする時やブレスト、社外のお客様を招いての商談、決定事項に関わる重要な話し合いなど、ミーティングの内容によって、使い分けています。社外からの来客の際には、会議室を話題にコミュニケーションが取りやすいといった利点もあります」と高久部長は説明しています。
一方のコラボレーションスペースは、社内のスタッフがリラックスしたり、ランチを食べたりといったことのできるエリアとして設けられているもので、ダーツや卓球台、ビリヤード、マッサージ機、軽食用の自動販売機などが置かれています。実際にコラボレーションスペースをのぞいてみると、マッサージチェアに座って息抜きする人や、グループで集まって和気あいあいと打ち合わせをする社員の姿も目につきました。
月例会などでもコミュニケーションを促進
こうしてミクシィ社内では、オフィス環境そのものにコミュニケーションを取りやすくする工夫を施す一方で、社内スタッフの交流をさらに潤滑にし、会社組織の状況を全社員が同じ温度感を持って把握できるよう、定期的に以下のような社内イベントを開催しています。
月例会: 毎月1回、コラボレーションスペースを利用して、約300名近くの社内全スタッフを集めて開催。事業部別の進捗報告の後、軽食を取りながらの懇親会を実施。
納会: 3カ月毎に、コラボレーションスペースやホテルなどの会場を借りて開催。全スタッフによる事業の施策、進捗状況、業績報告などの共有の後、懇親会を実施。
「ワンフロアだった頃のオフィスでは朝礼を行なっていたのですが、それが実質的に難しくなったので、月例会という形で全社員が集まる場を設けました。会社からのメッセージを受け取るにしても、社員が同じ空間を共有しているため、受け取り方も違ってくると思うんです」と高久部長。
この社内イベントの時にも、社内コミュニケーションを図るための細かい仕掛けが用意されていました。事業毎の報告というと一般的には部長レベルで行われるイメージがありますが、ここではその都度の案件に関わった担当者が発表します。これは「実際の案件の担当者はあの人だ」と他部署の人たちにも明確に見せることを目的としています。また、懇親会の場で行われるゲームや出し物では、数字ではなく「社員の名前を当てはめたビンゴ」など、必ずコミュニケーションが発生するような工夫を取り入れているそうです。