複雑多岐な業務プロセスをひとまとめに--BPMはケーブルテレビ会社のサービスインフラをどう変えたか - (page 2)

富永康信(ロビンソン) 2009年05月26日 09時00分

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ライセンス料と改造費用が大きな負担に

 同社のシステムは、大きく分けて、工事担当者や課金担当者などのオペレーターが利用するGUIの部分と、そこから要求を受け付けて提供先ごとのビジネスプロセスを処理するエンジン部分との2つの階層で構成されている。

 処理の部分はカナダを本拠とするシグマシステムズ社製のプロビジョニングシステム「SMP」を導入。新規の契約があった際、どの設備に対してどんな順番でプロビジョニングしていけばいいのかといったワークフローを吸収していた。しかし、SMPはサービスのための設備を追加する度に、カナダの本社に改造を依頼しなければないないため、その運用に当たって、時間的・費用的な負荷が高くなっていた。

 そこでテクノロジーネットワークスは、SMPと同等のプロビジョニングワークフローを実装できるBPM製品をいくつか検討した結果、ビトリア・テクノロジーの「BusinessWare」を選択。2008年にプロビジョニングシステムのプロセス管理レベルの業務ロジックとして導入した。

開発プロセスが標準化し新サービスの実装が迅速化

 現在は、オペレーターが利用するGUIと加入者向けのGUIの両方から、インターネットの契約、オプションの追加・変更・解約などのプロセスを全てBusinessWareに集め、そこからいくつかのコンポーネントに処理を振り分けて提供先ごとの業務プロセスを管理している。

 そのコンポーネントの一つには、引き続きSMPを活用。機能を縮小してコストを削減し、細かいサービス設備のためのプロビジョニングワークフローに利用している。また、契約管理・課金システム、在庫管理システム、アカウント発行管理システムなどを内製し、それぞれを配置した。

 さらに、BusinessWareと併用する形で、IBMのビジネスルール管理システム「ILOG JRules」(JRules)を導入し、メールアカウントの制限やオプション利用の可否など、ポリシーに応じた処理か否かを判断するバリデーション(検証)に用いている。

新プロビジョニングシステム概要 テクノロジーネットワークスの新プロビジョニングシステム概要(画像クリックで拡大表示)

 顧客データと契約内容のデータに基づく課金管理システム、プロビジョニングシステム、在庫管理、アカウント管理などのシステムは、BusinessWareを導入したことでBPMが全体の業務プロセスをコントロールする形になり、他のシステムはその指令に従って処理する“部品”へと変更され、SOAによる無駄がないシステム構成となった。

 また、「BusinessWare上にサービスを載せていくというアーキテクチャ基盤ができたことにより、BPM側、GUI側のそれぞれにどのような機能を実装すべきかが明確になったことで、新サービスの迅速な実装が可能になった」と海老澤氏は評価する。

 「ビジネスプロセスを一カ所に閉じ込めたことで、BPMだけを変更すればよくなったのは大きなメリット。新サービス追加にあたっては、画面のカスタマイズ以外、コンポーネント側に手を入れる必要はほとんどなく、開発プロセスが標準化されてきた」(海老澤氏)

すべてのサービスをBPMに乗せ、放送と通信の融合へ

 さらに、BusinessWareのメリットについて海老澤氏は、「開発生産性とスケーラビリティなどの融通性、システムやサービスの変更に対応できる疎結合性、プロセス構造の可視性の高さもさることながら、稼働しているホストごとのライセンス形態のため、契約者が増加し続けてもコストに影響しないことも大きい」と総括する。

 ただし、同社の業務の場合、基本契約後に、モデムの在庫登録、アカウントの発行、プロビジョニング、基本契約データ作成といったシーケンスが、リアルタイムにオンライン処理することが求められているので、個々のシステムの疎結合性は失われているという。

 例えば、モデムの在庫管理業務では、在庫登録後すぐにプロビジョニングされ、DHCPサーバにモデムのMACアドレスが登録されることで、そのモデムは使用中となる。在庫登録のプロセスと加入時のプロセスが密接に関連し合っているのだ。

 「BPMを導入する際には、密結合にならざるを得ない部分と、疎結合でもかまわない部分とを明確に定義した後に開発に着手すべき」という海老澤氏のアドバイスは、BPMだからといって「何が何でもSOAによる疎結合」になるとは限らない、ひとつの例を示してくれる。

 今後同社は、プロビジョニング以外のVoIPやコンテンツ系サーバ、デジタルテレビサービスなどもすべてBusinessWareに乗せ、開発サイクルを回していくことで付加価値の高いサービスを提供し、本当の意味で「放送と通信の融合」に最も近い企業を目指していくという。

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