悩むより手と頭を動かす
日本では、積み上げ方式のストーリー展開でプレゼンテーションを組み立てます。起承転結で最後に結論が来るパターンです。一方、グローバルでは結論が先に来ます。この方式が違うため、外国人が日本人のプレゼンテーションを途中でさえぎって「So what?」と言うことがあるのです。これは、プレゼンテーションが悪いわけではなく、やり方が違うだけなので、必要以上に落ち込む必要はありません。
話が長い外国人のプレゼンテーションも、よく聞いて分析してみましょう。結論が先に来るものの、後はその説明をいろいろな視点や言い方で繰り返し言っているに過ぎないとわかるはずです。そして、話しているうちに論点がずれることも結構あるのです。プレゼンテーションがうまく見える外国人でもそういうものです。
結論が押さえられなければ、話者が何を言おうとしているのか理解できませんが、結論が先に来るグローバル型の話は、結論を押さえやすいというメリットがあります。後は、結論に続く説明のロジックをまとめていけば、言いたいことが分かるはずです。これを習得するのに特別なツールはありません。地道な努力しかないのですが、努力した分確実に力になるので、是非トライしていただきたいと思います。
話すスピードを上げる必要はあるのか
今回ご相談いただいた話すスピードについてですが、私は特にスピードを上げる必要はないと思っています。スピードは個性であって、ゆっくり話す人でも、きちんとポイントをおさえていれば問題ありません。私をリアルで知っている人はお分かりかと思いますが、私は話すのが恐ろしく速いです。会議などで興奮するとさらにひどくなります。英語でも全く同じです。
ポイントは言葉を発するスピードではなく、言いたいことを効率的に伝えること。そのためのスピードはあげるべきです。つまり、簡潔な結論と簡潔な説明、これがキーポイントです。なので、アナウンサーのように早口言葉を練習するなんて明らかにナンセンスです。いくら早く話せても、内容がなければ誰も説得できませんし、その分延々と説明が長くなるだけです。説明が長すぎると、結論が忘れられ、派生した話の穴が指摘されやすくなり、どんどん本来の結論から遠のいていきます。
つまり、ご相談いただいた方への私なりの回答は、
- 冗舌な外国人、恐れるに足らず
- 話すスピードを上げる必要はなし
- 簡潔な結論、簡潔な説明に注力せよ
- そのために、議事録を取って欧米式の説明を盗め
いかがでしょうか。まずは「外国人ってスゴイ」という先入観を捨ててください。これは意外と大事なことです。
最後になりましたが、質問をいただき、ありがとうございました。今回の記事が参考になれば幸いです。今後も皆さんの疑問には積極的に応えていきたいと思いますので、遠慮なく質問してくださいね。お待ちしています。なお、質問内容を記事化する際には事前に質問者の了解を必ず取りますので、ご心配なきよう……
Peace out,
Eric
筆者紹介
エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。
イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。