米CNET Newが入手した情報によれば、Microsoftは、欧州で出荷する「Windows 7」からは、Internet Explorer(IE)を削除する予定であるという。
欧州の規制当局により、独占禁止法違反の疑いがあるとの懸念が表明されてきたのを受けて、Microsoftは、ブラウザを搭載しない形で、欧州にてWindows 7を提供する計画を立てている。CNET Newsが入手した、各PCメーカーに対して送られた極秘のメモによると、メーカー側には、IEを追加して販売するのか、別のブラウザを搭載して出荷するのか、あるいは、複数のブラウザを標準搭載して出荷するのかを、自由に選択できるオプションが提供されるようだ。
そのメモには「欧州において法律を遵守していることを明確に示すため、Microsoftは、Windows Internet Explorerを非搭載にした、他地域とは異なるバージョンのWindows 7を、欧州にてリリースすることになる。OSとは別に、無料でIE8が提供されることになり、PCメーカーが望むならば、欧州でも、Windows 7を搭載したPC上に、IE8をプレインストールして、容易に販売できるようになっている。PCメーカーは、IE8とは異なるブラウザを選択してインストールすることも可能だし、これまでと同様に、複数のブラウザをインストールすることを望む選択肢も取ることができるだろう」と記されている。
Microsoftは、この内容のメモを出したことを認めている。
欧州規制当局は1月に、これまで10年以上もの期間、Microsoftが行ってきた、Windowsに特定のブラウザを組み込んで販売することは、欧州における独占禁止法違反行為に値するとの判断を示していた。Microsoftは、2009年に入って、米証券取引委員会(SEC)に提出したドキュメントの中で、欧州連合(EU)が、Microsoftに対して、対抗する他のブラウザを搭載するか、他の選択肢を提供するように求めてくる可能性が高いと認識していることを明らかにしている。
Microsoftが、欧州において、IE非搭載でWindows 7を提供するとの決定は、こうした要求に応じるものであり、欧州においても、他の地域に遅れることなく、確実にWindows 7を出荷できるようにするための行動を起こしているようでもある。とはいえ、ここ数年の間、Microsoftが、ブラウザ市場シェアを拡大するMozilla、Apple、Googleなどと、厳しいシェア争いを強いられてきたことを考えると、今回の決定は、興味深いタイミングで下されていると言える。
ForresterのアナリストであるJ.P. Gownder氏は、「このすべては、まったくばかげている。Microsoftは、何年も前に、Netscapeと対抗していたが、それ以来、現在ほど厳しいシェア争いが、ブラウザ市場で繰り広げられることはなかった」と述べている。
欧州において、Firefoxは、特に強力な存在である。AT Internet Institute(前身はXitiMonitor)によれば、2008年11月の時点で、欧州におけるIEのシェアは59.5%であったが、Firefoxのシェアは31.1%に達していたという。Operaのシェアは約5%、Safariのシェアは約2.5%であった。Microsoftは、2008年4月から11月にかけて、実に5ポイントもの市場シェアを失った。
ブラウザ非搭載のWindows 7は、「E」バージョンとして、クロアチア、スイスを含む、欧州経済地域の全域で配布される。また、Microsoftは、欧州のみで提供される、Windows Media Player非搭載のWindows 7となる、「N」バージョンにおいても、ブラウザを非搭載とする予定である。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ