どうすればライバルを出し抜けるか?--「ゲーム理論」で考える
婚活がヒートアップする中、厳しい求愛競争に勝ち残るためには、並み居るライバルと比べて、自分こそが最も相手が求める条件に相応しい人間であることを認めてもらわねばならない。では、いったいどうすればライバルを出し抜き、愛しのハニーに自分を選んでもらうことができるのだろうか。1つ例を挙げて戦略的に考えてみよう。
男Aは、婚活を応援してくれる公的な支援センターに登録している。同センターの紹介で女Yと知り合い、お互いのことを理解し合い、少しずつ信頼関係を築いてきた。ところが女Yの美貌がどうしても他の男を引きつけてしまう。第2の花婿候補として男Bが女Yへと紹介されたのである! そこで女Aは男たちに課題を与えた。
ここで、女Y、男A、男Bのデータを整理しておこう。
- 女Yの出した条件:「愛の証しとして家を建ててもらいたい」
- 男A:建築のセンスはあるが、資金力に乏しい
- 男B:建築のセンスはないが、資金力は豊富にある
- 男Aと男Bは、互いに相手が一定の期間に投下できる資金の額について正確には知ることができない。資金が底をついて、建築作業が進められなくなった場合、その時点で負けとなる
そして、この戦いの勝利条件は以下のように設定するとしよう。
- 双方の建てた家が4カ月以内の時間差で完成した場合、完成した家の総合的なセンスが高いと女Yに認められた方が勝者となる。
- 片方の家が完成してから、もう片方の家が完成するまでに4カ月以上の時間差がついた場合、先に家を完成させた方が勝者となる。
2人の男は、女Yに家をつくってやり、喜ばせたい。考えられるのは、男Bが潤沢な資金で数多くの職人を雇い、短期間に家を完成させ、男Aに4カ月以上の時間差をつけることだ。せっかく時間をかけて女Yの好みをリサーチしてきた男Aにとっては大ピンチである。男Aが、金持ちの男Bに勝つチャンスはあるだろうか。
ここで男Aと男Bには、ともに2つの戦略があるとする。1つは、少しずつコツコツと建て、資金面では負担が少ない戦略。もう1つが、短期間に一気に建てる戦略だ。ただ、一気に建てる戦略は膨大なコストがかかる。さらに、同等のコストをかけることが可能だった場合、男Aのほうがよりセンスの良い(彼女好みの)家を造る。つまりこれは、男Bにとってもリスクが大きい戦略である。
この求愛競争を「ゲーム理論」的に考えてみよう。ゲーム理論は、戦略的決定を研究する行動科学分野の知見であるが、ここでは難しい言葉の定義は無視して先に進んでしまおう。
さて、男Aと男Bはともに2種類の戦略を持っている。少しずつ建てる「コツコツ」か、大枚をはたく「一気」かだ。2人が2種類の戦略を持つため、計4通りの組み合わせになる。