再生可能エネルギーをもっと--米研究報告に見る利用促進への必要事項 - (page 2)

文:Martin LaMonica(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル

2009-06-18 07:30

 NRCの報告書によると、再生可能エネルギーの割合を20%以上に拡大するには、エネルギー貯蔵技術が必要だという。また、太陽光や風力など、変化しやすい資源のエネルギーの流れをうまく管理するためのスマートグリッド技術も必要である。

技術、政策、資本

 太陽光、風力、そのほかの再生可能エネルギー源のコストは下がっているが、化石燃料による電力と比較すると依然として高い。

 NRCの報告書では、再生可能エネルギーへの投資を呼び込み、それによって技術を向上しコストを低下させるためには、再生可能エネルギーポートフォリオ基準(Renewable Portfolio Standard:RPS)のような一貫した政策が必要だとしている。また、炭素規制を実施して、大量の温室効果ガスを大気圏に放出することに値段を設定すれば、化石燃料よりもクリーンな発電方式のコスト競争力が高まるという。

 同報告書には次のように記されている。「現在、再生可能資源を発電に利用すると、現状のように化石燃料を利用して発電する場合に比べ、一般的に直接コストが高くなる。化石燃料発電の価格には今のところ、炭酸ガス放出に関連するコストやそのほかの値段が付けられていない副次的影響によるコストは含まれていない。したがって、再生可能資源が米国の発電量において大きな割合を占めるようにするには、何らかの市場介入や各種のインセンティブが必要になる」

 コストに関連するもう1つの主要課題は、産業規模である。NRCの報告書では、エネルギー製品の生産能力を増やさなければ、再生可能エネルギーが1けたを超える貢献を実現するのは難しいと指摘されている。

 例えば、米エネルギー省(DOE)の報告書では、風力を米国電力の20%に増加させるには、10万基の風力タービンの建設が必要で、製造と送電網の改善に1000億ドルの資本と14万人の労働者が必要であると算出している。

 環境レベルにおける風力と太陽光利用の深刻な障害は、発電所と新しい送電網に必要な土地を利用する方法に関する対立である。

 NRCの報告書によると、コストを低減し、エネルギーの貯蔵や送電網管理といった技術を実現するために、研究開発への投資がすぐに必要だという。「全体的に、再生可能電力の導入を促進するには、技術開発と一貫した政策を生産能力および資本調達と連携させる必要がある」(同報告書)

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ

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