#6:独断的な態度で接する
こういった態度をとられて嬉しく思う人などいないうえ、特にユーザーはそういった態度に敏感になっているのである。というのも、彼らはコンピュータの問題に直面することで、既にコンピュータから独断的な態度をとられていると感じているためである。ユーザーの視点から見た場合、驚くほど複雑なタスクを毎日、何の問題もなくこなしていたコンピュータが、明確な理由もなく、警告と呼べるものもほとんど出さないまま突如としておかしくなってしまうのである。もちろん、ほとんど常にと言っていいほど、おかしな動作をする理由があり、場合によっては警告が発せられていることもあるものの、彼らの目にはそれが見えないのである。つまり、彼らはあなたと話す時点で既に、「天災」ならぬ「電災」による独断的な仕打ちに苛立たしさを覚えているのだ。そして、そういった感情の矛先があなたに向かうのも時間の問題なのである。このため、あなたの対応や指示の裏に潜む理由を明確にし、それによって問題がどのように解決されるのかを説明することが重要なのである。
#7:問題は「非互換性」にあると告げる
ユーザーの抱えている問題が、プログラム間の非互換性に起因するという場合もあるかもしれない。しかし、それを口に出してしまうと面倒なことになるおそれがある。これによってユーザーは、議論を打ち切る際における「理由は自明だ!」という物言いをされたかのように感じるのである。非互換性を指摘する場合、話をそこで終わらせず、さらに説明を続けるのがよいだろう。例えば、「2つのプログラムは違った言語を使って対話しているようなものであり、通訳がいなければ意思疎通することができないのだ」といった説明をすることができるだろう。そして彼らが「なぜすべてのプログラムは英語のような共通語を使って対話しないのか?」という(極めて当たり前の)質問をしてきた場合、制約がないというソフトウェアの性質によって、プログラミング言語や標準規約、アプローチといったものすべてが、パプアニューギニアのような状態になっているのだと説明することもできるだろう。パプアニューギニアは、カリフォルニア州と同じくらいの面積しかないにもかかわらず、800種類以上もの言語が使用されているのである。「理由は自明だ!」という答えを返していることに変わりはないものの、ちょっとした説明を加えることで共感が得られるのだ。非互換性を嫌がる気持ちは、ユーザーもわれわれも同じである。われわれは、それに慣らされているだけなのだ。
#8:ヒアリングや説明を十分行うことなく、また注意点をしっかり伝えることなく変更を求める
IT技術者は変化の激しい業界を代表する者として、ユーザーに変更を伝えるための取り次ぎ役を務めることもしばしばある。そして、変更というものは、常に痛みをもたらすと相場が決まっているのだ。ユーザーが時間と手間をかけて身に付けた、あるいは微調整してきた作業方法や作業手順がお釈迦になり、再び苦労して作り直すことになるのである。彼らにとって、変更を甘受する理由は、将来的なメリットが見込めるということを置いて他にないのである。このため、可能であればヒアリングや説明を十分に行うとともに、注意点をしっかりと伝えておくべきである。そういったことができない場合であっても、彼らに対して少なくとも全体像を見せておくべきである--変更によって彼らにどういったメリットがもたらされるのかを示すのだ。それができないのであれば、変更自体を検討し直した方がよいだろう。