6.PPM(Product Portfolio Management)分析
自社の商品あるいは事業が、市場においてどのような位置にあるか、いわゆる事業ポジショニングに焦点をあてたフレームワークとして知られているのが「PPM」である。PPMについては、すでにこの連載の第2回で紹介している。
PPMを提唱したのはボストンコンサルティンググループ。マーケットシェアを重視するマンチェスター戦略の発展形とも言えるだろう。PPMでは、企業が存亡をかけるような商品や事業(これをStrategic Business Unit:戦略事業単位という)に着目し、その商品あるいは事業の「市場占有率」と、その市場の「市場成長率」の2要素により、自社の事業をポジショニングしたうえで戦略を導き出す。
図に示したように、「市場占有率」と「市場成長率」で2軸とり、市場の位置を4象限に区切る。たとえば市場占有率が高く、かつ市場成長率が高い象限は、「Star(花形製品)」として位置づけられる。この4象限において、自社の戦略事業単位がどこに位置づけられるかを見る。ちなみに「金のなる木」象限は、成長期を過ぎ、安定期にあること。「問題児」象限は、すでに競合他社が成功し、出遅れていることを示す。「負け犬」象限は、撤退すべき位置にあることを示している。
7.バリューチェーン分析
「5 Forces」分析とセットで使いたいのが「バリューチェーン」分析である。5 Forcesが業界(外部環境)に着目した分析であるのに対し、バリューチェーンは自社内(内部環境)を分析するフレームワークだ。バリューチェーンモデルもMichael E. Porterが提唱したものだ。バリューチェーンモデルを図にすると次のようになる。
バリューチェーンでは、以前の特集「仕事はプロセスで考える」の中で紹介したような「業務プロセス」の流れがマージン(利益)を生むと考え、付加価値を生み出すためのプロセスの連鎖を、バリューチェーン(価値連鎖)と呼ぶ。
バリューチェーン分析では、自社の価値連鎖を明らかにしたうえで、マージンを大きくする改善が行えるプロセスがないか、あるいはコストを削減する改善が行えるプロセスがないかを検討する。個別の業務プロセスに着目する方法と、業務プロセスを共有化して効率を高める方法について考えるのである。
今回は、戦略立案をサポートするために用いられる、有名な7つのフレームワークを見てきた。これらを用いて、様々な角度から自社のビジネスや周囲の状況について分析することで、より現実に即した戦略の立案が可能になるだろう。
次回は、より具体的な例をもとにして、企業戦略の立案について考えてみることにしよう。