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そもそも「連結経営」とは何か?--損益計算書と貸借対照表の“微妙”な関係 - (page 2)

森川徹治(ディーバ)

2009-07-08 08:00

“意志”への昇華で価値を発揮

 かつての共産圏に属した国々は自由経済へどんどん参入し経済活動がボーダーレスになった。加えて、情報技術の発展により証券市場が次々にグローバルネットワークに取り込まれていった。日本企業に対する外国人投資家の影響力も高まった。そして、バブル崩壊後の経済の停滞もあり、日本の経済を背景とする影響力は相対的に弱まった。会計ビックバンは日本がグローバル経済社会で生き残っていくための選択の一つであった。

 しかし、連結経営は、あくまで経営の要求であり経営の“意志”であるべきである。これからのグローバル経済において生き残っていくためにも、市場のニーズと同様に社会のニーズをしっかりと受け止め、経営力というものを磨き続けなければならない。

 本来、経営手法は強制されるものではない。しかしルールはある。ルールの変更により、経営手法も進化しなければ生き残れない。連結経営は、グローバル社会からの要請であるが、経営者自らの“意志”へと昇華することで真の価値を発揮するのである。

事業の“現場”ではP/Lが重要

 ここまで来て分かるように、連結決算と連結経営はまったくの別物である。連結決算により連結財務諸表を作成したといっても、それは計測しただけにすぎない。経営の“意志”をもって連結経営を行い、結果につなげることで連結経営をやっていると言える。連結経営とは独立した会社の集団に対するものだ。一方、通常の企業経営は独立した会社に対するものだ。ここに一つのヒントがある。

 上場企業の場合、事業計画の作成とそのモニタリングはかならず実施している(はずである)。そして上場審査の要件でもある。

 モニタリングの単位は企業の規模によって差があるとしても、事業内容や組織に応じて細分化されていることが多い。事業活動の現場に近づくほど、計画の詳細は会計数値だけではすまなくなる。数量や人数といったさまざまな数値も含めて計画が立てられ、モニタリングされる。事業活動の基本は売り上げの最大化と費用の最小化である。

 よって、事業計画は売り上げと費用を中心としたものとなる。いわゆる「損益計算書(P/L)」項目である。事業活動の現場では、P/Lが最も重要な情報となる。

事業資産の“運営者”にはB/Sが重要

 組織が大きくなり、事業資産が増加してくると、今度は資産の運用効率という点が重要となる。高い水準で事業が成長していればそれほど気にするものではない。しかし、成長が鈍化するとかなり重要な情報となる。

 投資家は株式を買うことで、企業資本の一部を保有する。実態経済を背景にした投資家の資産増加は、企業が事業活動を通して得た利益によって実現される。銀行にお金を預ける場合、利子の金額そのものを意識する人は少ないのではないだろうか。多くの場合利回りを意識する。同じ考え方である。人は企業との関わり方で重要とする情報が変わる。事業活動の現場ではP/L情報、事業資産の運営者は「貸借対照表(B/S)」の情報となる。

 独立した企業はかならずB/S情報、つまり事業資産を計測している。商法や証券取引法に定められているからである。しかし、経営管理上、会社より細かい単位でB/Sを細分化している例は少ない。売り上げや費用と異なり、資産、負債、資本というものは会計期間をまたいで営々と引き継がれるものである。

 しかし、企業の組織は事業活動のためにどんどん変化していく。引き継ぐ箱が、年度の組織変更で変わってしまうと、引き継ぎに難儀する。

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